【動物検疫の教科書】プロが教える、愛犬・愛猫との海外渡航を100%成功させる完璧ガイド

「愛犬との海外赴任、何から手をつければ…」「猫を連れて帰国したいけど、手続きが複雑すぎて不安…」

そのお気持ち、痛いほどわかります。私たちPetAirは多くの飼い主様の不安な声に耳を傾けてきました。そして断言します。動物検疫は、正しい知識と計画があれば、決して怖いものではありません。

この記事は、単なる手順の解説書ではありません。年間数百件の国際輸送を手がける私たちが、失敗しようがない完璧なタイムラインと、多くの人が陥る落とし穴、そして専門家だけが知る裏技まで、そのすべてを注ぎ込んだ「教科書」です。

最後まで読めば、あなたの不安は確信に変わるはずです。

STEP 1:なぜ動物検疫はこれほど厳格なのか?

まず知ってほしいのは、この手続きの「本当の目的」です。それは、致死率ほぼ100%の感染症「狂犬病」から、日本のすべての人と動物を守るためです。

WHO(世界保健機関)によれば、世界では今なお年間5万人以上が狂犬病で命を落としています。幸いにも、日本はこの病気の根絶に成功した世界でも稀有な「清浄国」です。

空港にいる動物検疫官は、この日本の平和を守る「国境警備隊」です。彼らは、たとえ相手が可愛いペットであっても、書類に1mmの不備があれば断固として入国を許可しません。

🌟 PetAirからの視点

私たちは、この厳しさを「愛」だと考えています。それは、あなたのペットを未知の病気から守り、日本の安全を守るという、二重の愛です。この手続きは、その「愛」に応えるための、飼い主としての責任なのです。

STEP 2:準備のルートを決める「2つの道」と、重大な誤解

準備を始める前に、渡航元の国・地域がどちらのルートに該当するかを確認してください。

ルート 該当する国・地域 特徴
ルートA
指定地域
6ヶ所のみ
アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ハワイ、グアム

狂犬病抗体価検査と180日待機が免除。

準備期間は約2〜3ヶ月

ルートB
指定地域以外
上記を除く全世界
アメリカ本土、ヨーロッパ全域、アジア諸国、中南米、中東・アフリカ等

狂犬病抗体価検査と180日待機が必須。

準備期間は最低7〜8ヶ月

STEP 3:【ルートA:指定地域】短期決戦だからこそ油断大敵!4つの鉄則

ハワイやグアムなどからの入国がこれに該当します。以下の4つの条件は、一つでも欠ければ計画が破綻します。

ハワイ、グアムについては以下の記事で詳しく解説しています。

厳格な居住条件を証明せよ

以下のいずれかを、公式書類で完璧に証明する必要があります:

  • 出生以来、ずっとその指定地域のみで飼育されている
  • 日本へ到着する前の180日間以上、継続してその指定地域のみで飼育されている
  • 日本から直接その指定地域へ渡り、他の地域に一切立ち寄らずに日本へ帰国する
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最も多い失敗例がこの居住条件の誤解です。「アメリカ本土からハワイに1ヶ月滞在して、そこから日本へ」といったケースは、指定地域の条件を満たしません。

40日前の事前届出は絶対

ルートBと同じく、日本到着の40日前までに動物検疫所への届出が必須です。

1日でも遅れれば受理されません。

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届出受理書がないと、航空会社が搭乗を拒否する場合があります。余裕を持って届出を。

政府機関発行の「お墨付き」が必須

現地の政府機関(ハワイならハワイ州農務省など)が発行した、条件を満たしていることを証明する公式の健康証明書が必要です。

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証明書の記載事項に1つでも不備があれば、空港で係留となります。必ず事前に記載内容を確認してください。

日本への直接輸送

指定地域から日本へ、他の国・地域を経由せずに入国しなければなりません。

乗り継ぎがある場合は、同じ指定地域内での乗り継ぎのみ可能です。

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航空券予約時に、乗り継ぎ地が指定地域内であることを必ず確認してください。

💡 PetAirからの視点

「継続して180日間」という条件の解釈で、多くの方が計画変更を余儀なくされています。少しでも不明な点があれば、必ず動物検疫所または専門家に相談してください。

STEP 4:【ルートB:指定地域以外】失敗ゼロの完璧ロードマップ

アメリカ本土やヨーロッパ、アジア各国からの入国がこれに該当します。この通りに進めれば、失敗しようがありません。

8ヶ月以上前

マイクロチップ装着

【最重要】必ずISO規格(15桁)を!

これより前の予防接種は全て無効です。獣医師に「動物検疫用です」と明確に伝えてください。

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チップ番号が証明書に正確に記載されているか、その場で必ず確認。番号の読み間違いが係留の原因になることも。

マイクロチップについては以下の記事で解説しています。

7ヶ月前

狂犬病予防接種(1回目)

マイクロチップ装着後、生後91日齢以降に接種。

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接種証明書のチップ番号と個体情報が一致しているか、その場で確認を。獣医師のサイン・日付・ワクチンのロット番号も必須です。

狂犬病については以下の記事で詳しく解説しています。

6ヶ月前

狂犬病予防接種(2回目)

1回目から30日以上あけて接種。

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ワクチンが「不活化ワクチン」であることを証明書に明記してもらってください。生ワクチンは認められません。

6ヶ月前

狂犬病抗体価検査

2回目接種後に採血し、AQS指定の検査機関へ。

結果が0.5 IU/ml以上必要です。

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この採血日が、180日待機のスタート地点になります。検査機関は必ずAQS指定施設を選んでください。指定外の機関では無効になります。

6ヶ月前〜到着日まで

180日間の待機

1日でも足りなければ即係留。

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採血日を「0日目」と数えず、「1日目」として計算する方が安全です。航空券は余裕をもって予約を。多くの方が、ここで1日のミスをして泣く泣く係留になっています。

40日前まで

日本への事前届出

到着空港の動物検疫所にNACCS等で届出。受理されると「届出受理書」が発行されます。

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これが無いと航空会社が搭乗を拒否する場合も。届出は早ければ早いほど安心です。

10日前〜直前

出国前の臨床検査

現地獣医師による健康診断。外部寄生虫の有無、一般的な健康状態を確認します。

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この検査は出発直前(通常10日以内)に実施。検査日が古すぎると無効になることがあります。

出発直前

輸出国政府機関の証明書取得

【最終ボス】

これまでの全記録を輸出国政府(アメリカならUSDA)に提出し、裏書き(Endorsement)をもらいます。

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記載漏れやサインミスが係留の最大の原因。日本の推奨様式(Form AC)の使用を強く推奨します。些細なミスも許されません。

日本到着日

日本の空港で輸入検査

全ての書類原本とペットを提示。検疫官がマイクロチップを読み取り、書類と照合。

✨ 不備がなければ、感動の再会です!

これまでの努力が報われる瞬間。大切な家族との新しい生活が、いよいよ始まります。

STEP 5:【プロが警告】99%の人が知らない、日本出国時の「最大の落とし穴」

STEP 6:【費用と航空会社】専門家だけが知る賢い選択

リアルな費用内訳

書類準備
3〜6万円

マイクロチップ、ワクチン、抗体価検査、証明書取得

航空運賃
4〜9万円

ペットのサイズ・路線により変動

係留になった場合
+50万円〜

最長180日間の係留費用

書類準備だけで約3万〜6万円、航空運賃を含めると総額10万円以上が目安です。係留になれば、追加で50万円以上の出費を覚悟してください。

正しい準備で係留リスクをゼロにすることが、結果的に最大の節約になります。

航空会社選びの3つの鉄則

  • ペットの予約を最優先に
    人間の席より先に、ペットの搭載枠を確保しましょう。繁忙期は数ヶ月前に満席になることも。
  • 短頭種は要注意
    フレンチ・ブルドッグ等の鼻ぺちゃ犬は、夏場の輸送を中止する航空会社が多数。早めに航空会社に直接確認を。
  • 客室か貨物室か
    日系は貨物室、外資系は条件付きで客室可の場合が多いです。ペットの性格や体調を考慮して選びましょう。

ペットフレンドリーな航空会社については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:愛するペットとの未来を守るための3つの絶対法則

最後に、この長い記事の最も重要なポイントを3つに凝縮します。これさえ守れば、あなたのペット輸送は成功したも同然です。

  1. 法則1:時間を最大の味方につける(ルートに合わせた計画の徹底)

    動物検疫の失敗原因は、準備不足に尽きます。「ルートB」なら最低8ヶ月、「ルートA」でも最低3ヶ月は必要です。今日があなたの準備開始日です。

  2. 法則2:自己判断を捨て、公式情報を絶対とする

    「簡単だろう」という僅かな油断が、空港での足止めという事態に繋がります。ルールは絶対です。必ず農林水産省 動物検疫所の公式サイトを確認してください。

  3. 法則3:「帰国準備は出国前に」を合言葉にする

    これは専門家だからこそ声を大にして言える、最大の秘訣です。将来、日本に帰る可能性が1%でもあるのなら、抗体価検査までを日本で済ませておくこと。この一手間が、未来のあなたとペットを救います。

さあ、あなたの番です。最高の旅立ちを、私たちと。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。2つのルートの違いと、やるべきことが明確になったのではないでしょうか。

もし、少しでも「自分一人では難しいかも」「プロの目でダブルチェックしてほしい」と感じたら、どうか一人で悩まないでください。相談したからといって、無理な営業は一切ありません。

私たちが提供するのは、単なる手続き代行ではありません。大切な家族との新しい生活を、万全の体制でスタートさせるための「安心」です。

\ まずは無料で「安心」を手に入れる /

あなたの最高の第一歩を、PetAirが全力でサポートします。

瀬戸里沙子|PetAirJPN 事業責任者・ペット国際輸送専門家

幼い頃から動物が大好きで、「動物たちの命を守りたい」という想いから愛玩動物看護師の道へ。現在はその経験を活かして、ペットの国際輸送専門家として、またPetAirJPNの事業責任者として、多くのペットとご家族の海外移住・旅行をサポートしています。
「大切な家族の一員であるペットと、どこの国でも一緒にいてほしい」そんな飼い主さまの願いを叶えるお手伝いをしています。一頭一頭の性格や体調に合わせて、できるだけストレスの少ない移動プランをご提案することを心がけています。ペットも飼い主さまも安心して新しい生活をスタートできるよう、心を込めてサポートいたします。

[保有資格]
愛玩動物看護師
動物衛生技術師(AHT)
動物医療技術師(VT)

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