最終更新日:2026年8月7日
この記事でわかること
- 夏期(おおむね5月〜10月)にペットの受託を制限する航空会社と、その理由
- 短頭種犬(パグ・フレンチ・ブルドッグ等)への各社の対応の違い
- 国内主要6社(ANA・JAL・スカイマーク・スターフライヤー・ソラシドエア・エア・ドゥ)の比較
- 安全に運ぶために飼い主さまが準備しておきたいチェックリスト
- 海外への引っ越しを検討する場合に、追加で必要になる手続き
まず結論:ペット輸送のルールは、航空会社によって大きく違う
国内線でペットを預ける場合のルールは、利用する航空会社によって大きく異なります。とりわけ次の2点は、出発前に必ず確認しておきたいポイントです。
特に確認しておきたい2つのポイント
- 夏期(おおむね5月〜10月)の受託制限 — 高温による熱中症リスクを避けるため、この時期に特別な制限を設けている航空会社があります。
- 短頭種犬(鼻の短い犬種)への特別ルール — パグやフレンチ・ブルドッグなどは、身体の構造上、呼吸に関するリスクが他の犬種より高いとされ、航空会社ごとに慎重な対応が取られています。
これらのルールは、ペットの安全を守るために設けられているものです。たとえばANAは、対象となる時期や犬種を公式サイトで具体的に案内しています。まずは「なぜ」その必要があるのかを理解したうえで、具体的な航空会社ごとの違いを見ていきましょう。
なぜ夏の輸送や短頭種犬に、厳しいルールがあるのか?
夏の受託制限も短頭種犬への特別ルールも、理由は「熱中症と呼吸困難のリスクをできるだけ避けるため」という一点に集約されます。
夏の飛行機:リスクは機内より「地上」にある
航空会社は、貨物室の環境を客室に近い状態に保つよう努めていると案内しています。ただし、特に注意が必要なのは、搭乗前後の地上での時間帯です。
| 月 | 熱中症リスクの目安 |
|---|---|
| 1月 | 低い |
| 2月 | 低い |
| 3月 | 低い |
| 4月 | やや高い |
| 5月 | 高い |
| 6月 | 高い |
| 7月 | 高い |
| 8月 | 高い |
| 9月 | 高い |
| 10月 | やや高い |
| 11月 | やや高い |
| 12月 | 低い |
※季節による熱中症リスクの一般的な目安です。地域差があり、短頭種犬はこのリスクがさらに高くなります。夏期の受託制限など最新の条件は、各航空会社の公式サイトで確認してください。
駐機場のアスファルトは夏の直射日光で高温になりやすく、航空機への搭載・取り降ろしの際にも外気温の影響を受けます。ANAやソラシドエアが「5月1日〜10月31日」という明確な期間を設けているのは、この地上でのリスクを重視しているためです(参考:ANA公式サイト「短頭犬種の輸送に関するお知らせ」、2026年7月確認)。
短頭種犬:愛されるがゆえの身体的なリスク
ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーといった短頭種犬は、短い鼻の構造上、次の2つのリスクを抱えやすいとされています。
短頭種犬が抱えやすいリスク
- 呼吸による体温調節が苦手 — 犬は人と違って汗腺があまり発達しておらず、主に「パンティング」と呼ばれる浅く速い呼吸で熱を逃がします。短頭種犬は気道が短く狭いため、熱がこもりやすい体質です。
- ストレスや興奮で呼吸が乱れやすい — 慣れない環境や大きな音がストレスになり、興奮すると呼吸が速くなります。気道が狭い分、他の犬種より呼吸が苦しくなりやすい傾向があります。
航空会社が短頭種犬に慎重なルールを設けているのは、こうした身体的な特徴をふまえた予防的な対応と考えられます。
短頭種犬の飛行機搭乗については、短頭種犬の飛行機搭乗完全ガイドでさらに詳しく解説しています。この記事では国内線の季節ごとの受託制限を中心に扱いますので、短頭種犬の航空会社別ルールをより詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
【比較】国内主要6社の夏期制限・短頭種犬ルール
国内主要6社は、夏期の受託制限の有無も短頭種犬への対応も、それぞれ異なります。ここからは、6社のルールを個別に見ていきます。下の表はおおまかな傾向を示すもので、条件は変更されることがあるため、必ず各社の公式サイトで最新情報を確認してください。
| 航空会社 | 夏期(5月〜10月頃)の受託制限 | 短頭種犬への主な対応 |
|---|---|---|
| ANA | あり(5月1日〜10月31日、対象犬種の受託を中止) | 期間・対象犬種を具体的に案内 |
| JAL(国内線) | 一律の期間指定なし | ブルドッグ・フレンチブルドッグは通年不可、他は要相談 |
| スカイマーク | 季節を限定した制限は明記なし | 多くの短頭種犬を通年で受託不可 |
| スターフライヤー | 貨物室での季節限定の制限は特に明記なし | 「FLY WITH PET!」で客室同伴に対応 |
| ソラシドエア | あり(5月1日〜10月31日、ANAとほぼ同様の対象犬種) | 期間中はケージカバー・二重ケージも禁止 |
| エア・ドゥ | 短頭種犬に関する独自の条件あり(詳細は変更の可能性) | 事前に公式サイトでの確認が必須 |
※各社の情報は、以下の各社公式サイト(本文中にリンクを掲載)を基に2026年7月に確認したものです。条件は予告なく変更される場合があるため、ご利用前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
ANAの夏期受託制限はどうなっている?
ANAは毎年5月1日〜10月31日の期間、対象となる短頭種犬の受託を中止しています。期間と対象犬種を具体的に示しているため、事前の見通しが立てやすいのが特徴です。最新の対象犬種・期間はANA公式サイト(ペットをお連れのお客様)で確認してください。
JAL国内線の短頭種犬ルールは?
JAL国内線では、ブルドッグとフレンチ・ブルドッグ(およびこれらの短頭犬)は預けられませんが、パグやボストン・テリアなど他の短頭種犬は個別相談の対象になります。これは国内線の旅客ペットに関するルールで、国際貨物便のルールとは別のものです。詳細はJAL公式サイト(国内線ペットサービス)で確認してください。
スカイマークは短頭種犬を通年で制限している?
スカイマークは、パグやブルドッグ、シーズーなど多くの短頭種犬について、季節を問わず通年で受託を断っています。夏期に限らず年間を通じた対応である点が、他社との違いです。対象犬種の詳細はスカイマーク公式サイト(ペットのお預かり)で確認してください。
スターフライヤーの「FLY WITH PET!」とは?
スターフライヤーは、貨物室でのお預かりに加えて、客室内でペットと一緒に過ごせる「FLY WITH PET!」というサービスを提供しています。追加料金は1匹50,000円で、2024年1月15日からは国内線の全路線・全便が対象になりました(出典:スターフライヤー公式サイト(FLY WITH PET!)、2026年7月確認)。貨物室に不安を感じる飼い主さまにとって、選択肢のひとつになるサービスです。料金・利用条件は変更されることがあるため、予約前に公式サイトでご確認ください。
ソラシドエアも夏期は受託を制限している
ソラシドエアも、ANAとほぼ同様の対象犬種について、5月1日〜10月31日の期間、受託を中止しています。この期間はケージカバーの取り付けや、ケージの二重化も禁止されています(出典:ソラシドエア公式サイト(ペットのお預かり)、2026年7月確認)。
エア・ドゥは事前確認が必須
エア・ドゥも、短頭種犬の受託について独自の条件を設けています。ただし対象期間や犬種の詳細は変更されている可能性があるため、本記事では具体的な内容を断定せず、利用前にエア・ドゥ公式サイトで最新の条件を直接確認することをおすすめします。
安全に運ぶための準備チェックリスト
航空会社がルールを整えていても、最終的にペットの安全を左右するのは飼い主さまの準備です。以下のポイントを確認しておきましょう。
海外への引っ越しの場合は、手続きがさらに増える
ここまでは国内線の話でしたが、海外への引っ越しや犬・猫同伴の渡航になると、必要な手続きは比べものにならないほど増えます。犬・猫を連れて日本を出国する際は、動物検疫所への輸出検査の申請(検査希望日の14日前まで)と、出発10日以内の検査実施が必要です(出典:動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、2026年7月確認)。犬・猫以外の動物を連れて渡航する場合は、対象動物ごとに手続きが異なるため、動物検疫所へ個別にご確認ください。
将来的に犬・猫を連れて日本へ帰国する予定がある場合は、帰国時の条件もあわせて確認しておく必要があります。指定地域以外からの入国では、到着40日前までの事前届出、ISO規格に適合するマイクロチップの装着、狂犬病予防注射2回以上、抗体価検査0.5IU/ml以上、採血後180日間以上の待機などが求められます(出典:動物検疫所「犬、猫の輸入手続き」、2026年7月確認)。渡航先ごとの入国条件は国によって異なるため、詳細は渡航先当局の公式情報で確認してください。
海外へのペット同伴渡航全般の流れは、海外へのペット同伴渡航ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
ここでは、国内線のペット輸送について寄せられることが多い質問にお答えします。海外への渡航・引っ越しに伴う検疫手続きの基本情報は動物検疫所公式サイトもあわせてご確認ください。
まとめ:ルールを知り、早めに準備することが安心への近道
国内線でのペット輸送は、夏期の受託制限も短頭種犬への対応も、航空会社によって内容が異なります。「うちの子は乗れるのか」「この時期は大丈夫か」は、利用予定の航空会社に個別で確認することが欠かせません。
そのうえで、獣医師への事前相談やクレートの準備など、飼い主さまにしかできない準備を整えておくことが、ペットの安全な空の旅につながります。海外への引っ越しなど、より複雑な手続きが必要な場合は、お気軽にPetAirJPNへご相談ください。
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執筆: PetAirJPN 編集部(国際ペット輸送の実務チーム)
※この記事の情報は2026年8月時点のものです。各航空会社のペット受託ポリシー・料金、動物検疫の手続きは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の搭乗可否・料金・手続きの確定判断は、利用予定の航空会社・動物検疫所・渡航先当局の最新の公式情報を必ずご確認ください。