愛犬・愛猫との海外渡航|動物検疫ガイド【2026年最新】

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愛犬・愛猫との海外渡航|動物検疫ガイド【2026年最新】

ペットの輸送手続き / 2025.10.17

「愛犬とのハワイ移住、何から始めればいい?」「猫を連れて帰国したいが手続きが不安」——そんな声に向けて、この記事では一次情報をもとに動物検疫の手続きを整理します。動物検疫の手続きは、渡航元が指定地域か指定地域以外かで大きく変わるため、まずは両ルートの流れと注意点を確認しましょう。

この記事でわかること

なぜ動物検疫の手続きが必要なの?

動物検疫の手続きが厳格な理由は、狂犬病という感染症から人と動物を守るためです。世界保健機関(WHO)によると、狂犬病は発症するとほとんど助からないとされる感染症で、世界全体で年間推定59,000人が命を落としています(出典: WHO Rabies fact sheet、2024年6月更新・2026年7月確認)。厚生労働省も、狂犬病は発症するとほぼ死亡し、有効な治療法がないと説明しています(出典: 厚生労働省、2026年7月確認)。

日本は、この狂犬病の発生がない数少ない国のひとつです。だからこそ動物検疫所は、海外から持ち込まれる犬猫について書類や条件を細かく確認しており、記載内容に不備があると入国できないケースもあります。この手続きは、ペットを危険な病気から守るとともに、日本国内の人と動物の安全を守るためのものだと理解しておくと、準備の意味も見えてきます。

渡航元は「指定地域」と「指定地域以外」のどちらですか?

動物検疫の手続きは、渡航元(直前に住んでいた国・地域)が「指定地域」か「指定地域以外」かによって大きく変わります。まずはどちらのルートに該当するかを確認しましょう。

ルート 該当する国・地域 特徴
ルートA:指定地域 アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ハワイ、グアムの6地域 狂犬病抗体価検査と180日待機は不要。ただし居住条件の証明が厳格
ルートB:指定地域以外 上記6地域以外の国・地域(アメリカ本土、欧州、アジア各国、中南米、中東・アフリカなど)。国・地域によっては個別の事情で手続きが一時的に停止されている場合があるため、渡航元の最新の受入状況は動物検疫所公式サイトでご確認ください マイクロチップ装着・狂犬病予防接種2回・抗体価検査・180日以上の待機が必要

出典: 動物検疫所「指定地域」動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認。

「指定地域だから簡単」ではない理由

ここで注意したいのは、ルートAだから手続きが簡単というわけではないという点です。抗体価検査と180日待機という時間のかかる手順が不要になる代わりに、「指定地域だけで飼育されていたこと」を証明する条件が厳格に問われます。

指定地域ルートで満たす必要がある居住条件(いずれか)

  • 出生してから、ずっとその指定地域のみで飼育されている
  • 日本へ輸出される前の180日間以上、継続してその指定地域のみで飼育されている
  • 日本を出国してから日本に帰国するまでの間、ずっとその指定地域のみで飼育されている(他地域に滞在した記録がない)

出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域編)」、2026年7月確認。

例えば「アメリカ本土からハワイに1ヶ月だけ滞在して、そこから日本へ向かう」というケースは、上記のいずれの居住条件も満たさないため、指定地域ルートの対象にはなりません。ただし、これは入国自体ができなくなるという意味ではなく、日本到着後に180日からその指定地域で飼育されていた日数を差し引いた不足日数分、動物検疫所の係留施設で係留検査を受けることになります。居住条件の解釈は誤解が生じやすいため、少しでも不明な点があれば渡航前に動物検疫所へ確認しておきましょう。

指定地域ルートでも、日本到着の40日前までの事前届出は必須です。証明書には個体情報やマイクロチップ番号、居住条件を満たしていることなどの記載が必要です。証明書は輸出国の政府機関(例えばアメリカからの渡航ではUSDA=米国農務省)から発行または裏書きを受けます。発行の形式は国によって異なるため、証明書の記載に不備があると空港で足止めになる可能性があることも踏まえ、事前に内容をよく確認しておきましょう。なお、ここでの居住条件は「どこで飼育されていたか」という滞在の実績を問うものであり、帰りの便で他地域を経由するかどうかとは別の話です。乗り継ぎがある場合の扱いも含め、詳細は事前に動物検疫所へご確認ください。

ハワイ・グアムからの渡航については、それぞれの記事でさらに詳しく解説しています。

愛犬とハワイ旅行完全ガイド|準備から観光まで徹底解説!
愛犬と行くグアム旅行完全ガイド|手続きから観光まで徹底解説!

【ルートB】指定地域以外から入国する場合の手続きの流れ

アメリカ本土やヨーロッパ、アジア各国などからの入国は、こちらのルートBに該当します。必要な手続きを順番に整理すると、次のような流れになります。

1

マイクロチップの装着

国際標準規格(ISO 11784・11785)に適合したマイクロチップは、原則として狂犬病予防注射より前に装着します。装着の順序を誤ると、その前に受けた予防接種が入国要件として認められない場合があるため、獣医師には「動物検疫用に必要」であることを伝えたうえで、例外的な取り扱いも含めた最新の要件を動物検疫所公式サイトでご確認ください(出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認)。

2

狂犬病予防注射(1回目)

マイクロチップ装着後、生後91日齢以降に接種します。証明書にはマイクロチップ番号・個体情報・獣医師のサイン・日付が正確に記載されているか、その場で確認しておきましょう。

3

狂犬病予防注射(2回目)

1回目の接種日を0日目として、30日以上あけて2回目を接種します。証明書には不活化ワクチンまたは組換え(recombinant)型であることを明記してもらいましょう。生ワクチンやRNAワクチンは認められません。

4

狂犬病抗体価検査

2回目の接種後に採血し、農林水産大臣が指定する検査施設で検査を受けます。結果は0.5 IU/ml以上が必要です。対象となる検査施設は動物検疫所公式サイトで事前にご確認ください。この採血日が、180日間の待機期間の起算日になり、検査結果は採血日から2年間有効です。

5

180日間以上の待機

採血した日から、日本に到着するまで180日間以上の待機が必要です。日数が足りない場合は、その不足した日数分だけ動物検疫所の係留施設での係留検査の対象になります。採血日を安全側に数えるなど、余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。

6

日本への事前届出

日本到着日の40日前までに、到着予定の空海港を管轄する動物検疫所へ事前届出を行います。原則としてこの期限を過ぎると受理されません。受理されると「届出受理書」が発行され、輸出国での手続きや航空会社の搭載手続きの際に提示を求められることがあるため、印刷したものまたは電子データを保管しておきましょう。

7

出発前の健康診断

現地の獣医師による健康診断を受けます。検査項目や診断を受ける時期の要件は動物検疫所が定めているため、事前に公式サイトでご確認ください。

8

輸出国政府機関の証明書取得

これまでの記録をまとめ、輸出国の政府機関(アメリカからの渡航ではUSDA=米国農務省など)から証明書の発行または裏書き(エンドースメント)を受けます。この手続きは国によって進め方が異なり、政府機関の獣医師が証明書を直接作成する場合もあれば、動物病院が作成した証明書に政府機関が裏書きする場合もあります。記載漏れやサインの不備は係留の原因になりやすいため、提出前に内容をよく確認しましょう。指定の様式がある場合は、動物検疫所公式サイトで最新の情報をご確認ください。

9

日本到着後の輸入検査

空港の動物検疫所で、書類原本とペットを提示します。検疫官がマイクロチップを読み取り、書類の内容と照合します。輸入検査で問題がなければ、入国できます。

出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認。マイクロチップの詳細はマイクロチップ徹底ガイド、狂犬病予防接種の詳細は狂犬病予防接種の基礎知識もあわせてご覧ください。

ステップ4〜5を積み上げると、抗体価検査後の180日間の待機だけでも半年以上かかる計算になり、そこにマイクロチップ装着や2回の予防接種にかかる期間も加わります。準備にかかる期間は、動物病院の予約状況や検査結果、渡航先の条件によっても変わるため、具体的なスケジュールは動物検疫所の公式情報を確認しながら、早めに逆算して組み立てることをおすすめします。

渡航元と出発希望時期、教えてください

指定地域か指定地域以外か、必要な手続きの流れを一緒に整理します。
まずは今の状況をお聞かせください。

帰国の可能性があるなら、出国前にやっておきたいこと

短期赴任や留学などで、将来的に指定地域以外の国・地域から日本へ帰る可能性があるなら、日本を出る前に、狂犬病抗体価検査までを済ませておくことをおすすめします(帰国元が指定地域に該当する場合は、抗体価検査・180日待機が不要な別ルートになります)。

これを済ませずに渡航してしまうと、いざ帰国が決まった際に海外でゼロから手続きを始めることになり、抗体価検査の採血日から180日間以上の待機が新たに必要になります。「辞令が出たのに、ペットの手続きが間に合わず予定通りに帰国できない」という事態にもつながりかねません。日本にいる間に済ませておける手続きは、できるだけ済ませておくと、将来の選択肢が広がります。

出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認。

帰国時の具体的な手続きは、以下の記事で詳しく解説しています。

ペットと日本への帰国完全ガイド:専門家が教える成功のポイント

費用はどのくらいかかりますか?

動物検疫にかかる費用は、マイクロチップの装着から航空運賃まで複数の項目に分かれ、動物病院や検査機関、航空会社、時期によって金額が変わります。主な項目は次のとおりです。

費用の項目 金額に影響する主な要因
マイクロチップの装着 動物病院、動物の大きさ
狂犬病予防接種(2回) 動物病院、ワクチンの種類
狂犬病抗体価検査 指定検査機関
各種証明書の発行・翻訳 発行機関、書類の枚数
航空会社のペット輸送運賃 航空会社、区間、クレートを含めた重量
係留検査になった場合の費用 係留日数、施設

係留検査は、要件を満たさない場合に最長180日間発生する可能性があり(出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認)、日数に応じて費用もかさみます。正しい手順で準備を進めることが、結果的に係留のリスクを避け、余計な出費を抑えることにつながります。具体的な金額の目安は、渡航元・渡航先・ペットの状況によって大きく変わるため、お気軽にお問い合わせください。

航空会社選びで気をつけたい3つのポイント

航空会社選びで特に気をつけたいのは、搭乗枠の確保・短頭種の受託条件・客室か貨物室かの3点です。手続きの準備と並行して、早めに確認しておきましょう。

1.ペットの搭乗枠を早めに確保する — 繁忙期はペットの搭載枠が早い段階で埋まることがあります。人間の航空券より先に、ペットの予約状況を確認しておきましょう。
2.短頭種は事前確認を徹底する — フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種は、季節や犬種によって受託を制限している航空会社があります。詳しい受託条件は短頭種犬の航空会社別・受託条件まとめで確認できるほか、最新の受託条件は利用予定の航空会社公式サイト(例: JALKLM)で必ずご確認ください。
3.客室か貨物室かを確認する — 客室への同伴が可能かどうかは航空会社によって対応が異なります。ペットの性格や体調も踏まえて、利用予定の航空会社に直接確認しましょう。

ペットフレンドリーな航空会社については、以下の記事で詳しく解説しています。

ペットと世界へ!ペットフレンドリー航空会社ランキングTOP15

よくある失敗パターン

準備の途中でつまずきやすいのは、居住条件の誤解や期限の勘違いなど、いくつかの典型的なパターンです。

指定地域の居住条件を誤解する — 「アメリカ本土からハワイに少し滞在してから日本へ」というケースは、指定地域ルートの居住条件を満たしません。渡航元での滞在期間・経路は、事前に動物検疫所へ確認しておく必要があります。
輸出検査の「申請期限」と「検査の実施時期」を混同する — 日本から出国する際の輸出検査は、検査希望日の14日前までに申請し、出発10日以内に検査を受ける必要があります。「申請は10日前まででいい」と誤解しやすいポイントなので注意しましょう(出典: 動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、2026年7月確認)。
180日間の待機日数を1日読み違える — 採血日の数え方を誤ると、日本到着日に待機期間が1日足りず係留になるケースがあります。余裕を持ったスケジュールで航空券を予約しましょう。
事前届出の期限ぎりぎりに動き出す — 40日前という期限は原則厳守で、過ぎると受理されません。書類の不備で再提出になる可能性も考え、余裕を持って動き出すことが大切です。
費用の見積もりをとらずに準備を進める — マイクロチップから航空運賃まで項目が多く、費用感を把握しないまま進めると想定外の出費に驚くことがあります。早い段階で見積もりを確認しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 指定地域と指定地域以外の違いは何ですか?
指定地域(アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ハワイ、グアムの6地域)は、狂犬病抗体価検査と180日間の待機が不要です。ただしその代わりに、指定地域のみで飼育されていたことを証明する居住条件が厳格に問われます。指定地域以外は、マイクロチップ装着・狂犬病予防接種2回・抗体価検査・180日以上の待機が必要です(出典: 動物検疫所「指定地域」動物検疫所「指定地域以外編」、2026年7月確認)。
Q. 準備にはどのくらいの期間がかかりますか?
該当するルートや居住条件によって大きく異なります。指定地域以外のルートでは、抗体価検査後の180日間の待機だけでも半年以上かかる計算になり、それより前のマイクロチップ装着・2回の予防接種の期間も必要です。指定地域ルートでも、居住条件によっては長期間の継続飼育が求められる場合があります。具体的なスケジュールは、動物検疫所の公式サイトを確認したうえで、早めに逆算して準備を進めることをおすすめします。
Q. 狂犬病抗体価検査はどこで受ければいいですか?
農林水産大臣が指定する検査施設で受ける必要があります。検査を依頼する前に、動物検疫所公式サイトで指定施設の一覧を確認してください。なお、検査結果は採血日から2年間有効です。
Q. 費用はどのくらいですか?
マイクロチップ、予防接種、抗体価検査、証明書の発行、航空運賃など複数の項目があり、動物病院・検査機関・航空会社・時期によって金額は変わります。目安の金額は個別の状況により異なるため、お気軽にお問い合わせください。
Q. 短期赴任でいずれ日本に帰国する予定です。何に気をつければいいですか?
帰国予定地が指定地域以外であれば、日本を出国する前に、狂犬病抗体価検査までを済ませておくことをおすすめします(帰国元が指定地域に該当する場合は、抗体価検査・180日待機が不要な別ルートになります)。これを済ませておかないと、帰国が決まった際に海外でゼロから手続きを始めることになり、採血日から180日間以上の待機が新たに必要になります(出典: 動物検疫所「犬、猫の入国(指定地域以外編)」、2026年7月確認)。詳しくはペットと日本への帰国完全ガイドをご覧ください。
Q. 手続きが複雑でよく分かりません。相談できますか?
PetAirでは、渡航元・渡航先・出発希望時期・ペットの状況をお伺いしたうえで、必要な手続きの流れをご案内しています。お気軽にお問い合わせください。

まとめ:準備を進めるうえで押さえておきたい3つのポイント

最後に、この記事の要点を3つにまとめます。

  1. ルートに応じて、時間的な余裕を持って計画する — 指定地域以外のルートは180日間の待機を含め準備に時間がかかります。指定地域ルートも居住条件次第では長期の継続飼育が必要になるため、どちらの場合も早めの着手が安心につながります。
  2. 自己判断せず、公式情報を確認する — 規則は予告なく変更されることがあります。手続きを進める際は、必ず動物検疫所(AQS)の公式サイトで最新情報をご確認ください。
  3. 帰国の可能性があるなら、出国前の準備を — 将来日本へ帰る可能性が少しでもあるなら、抗体価検査までを日本にいる間に済ませておくと、いざという時の選択肢が広がります。

飛行機での移動そのものの安全対策については、ペットとの飛行機移動 安全対策ガイドもあわせてご覧ください。

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執筆: PetAirJPN 編集部(国際ペット輸送の実務チーム)

※この記事の情報は2026年7月時点のものです。各国の検疫規制・航空会社のポリシーは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の渡航可否・要件の確定判断は、動物検疫所・各国当局・航空会社の最新の公式情報を必ずご確認ください。

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