最終更新日:2026年7月29日
「愛犬・愛猫と一緒に海外旅行に行きたいけれど、何から手をつければいいかわからない」。そんな飼い主さんは少なくありません。海外へのペット同伴旅行は、日本出国前の検疫手続き、渡航先の入国要件、飛行機での移動、そして帰国時の検疫と、いくつもの段階を踏む必要があります。
この記事でわかること
- 日本出国前に必要な手続き(マイクロチップ・狂犬病ワクチン・輸出検疫証明書)
- 渡航先ごとの入国要件の違い(アメリカ・EU諸国・英国・オーストラリア)
- 飛行機での移動時に確認しておきたいこと
- 現地での過ごし方のコツ
- 帰国時に必要な動物検疫の手続き
※本記事は一時的な海外旅行を想定した内容です。海外への移住・赴任を検討している場合は、ペットを日本から海外へ連れて行く方法|手続き・準備完全ガイドもあわせてご覧ください。
出発までの準備はいつから始めればいい?
渡航先によって必要な準備期間は異なりますが、狂犬病抗体価検査や接種後の待機期間が求められる渡航先の場合、準備に数ヶ月単位の時間がかかることがあります。渡航先が決まったら、できるだけ早い段階でPetAirJPNや動物検疫所に相談し、全体のスケジュールを確認することをおすすめします。
マイクロチップの装着
- ISO 11784および11785に適合するマイクロチップを装着
- すべての手続きの前提となるため、最初に済ませておく
狂犬病ワクチンの接種
- マイクロチップ装着後に接種する(順番を間違えないよう注意)
- 渡航先によって接種回数・証明書の有効期限の条件が異なる
健康診断・健康証明書の取得
- かかりつけ獣医師による健康診断を受ける
- 渡航先が指定する言語・様式の健康証明書を取得する
動物検疫所での輸出検査・輸出検疫証明書の発行
- 検査希望日の14日前までにNACCSで輸出検査を申請
- 出発10日以内に輸出検査を受け、輸出検疫証明書の交付を受ける
出典: 動物検疫所(犬、猫を輸出するには)(確認日: 2026年7月)
日本出国前に必要な手続き
日本出国前には、マイクロチップの装着、狂犬病ワクチンの接種、健康証明書の取得、動物検疫所での輸出検査という流れを順番に進める必要があります。手続きを怠ると、当日空港で出国できないこともあるため、早めに準備を進めましょう。
マイクロチップの装着
渡航する犬・猫には、ISO規格(ISO 11784および11785)に適合するマイクロチップの装着が必要です。マイクロチップ番号は個体識別番号として各種証明書に記載されるため、すべての手続きの前提になります。動物病院で装着し、獣医師発行の証明書を確保しておきましょう。マイクロチップについては犬・猫のマイクロチップ徹底ガイドで詳しく解説しています。
狂犬病ワクチンの接種
ほとんどの国で、狂犬病予防接種証明書が入国要件として求められます。接種回数や証明書の有効期限、接種から渡航可能になるまでの待機期間は渡航先によって条件が異なるため、必ず渡航先の公式情報を確認してください。狂犬病ワクチンは、原則としてマイクロチップ装着後の接種が有効とされます。個別の可否については動物検疫所にご確認ください。狂犬病ワクチンについては狂犬病予防接種の基礎ガイドで詳しく解説しています。
健康証明書の取得と輸出検疫証明書の発行
出発前に、かかりつけ獣医師による健康診断を受け、渡航先が指定する言語・様式の健康証明書を取得します。その後、動物検疫所へ輸出検査を申請し、検査を受けて「輸出検疫証明書」の交付を受けます。輸出検査の申請は検査希望日の14日前までに、検査そのものは出発10日以内に受ける必要があります(動物検疫所、確認日2026年7月)。書類に不備があると出国できない場合があるため、証明書は原本を持参し、念のためコピーも用意しておくと安心です。
渡航先によって入国要件はどう違う?
入国要件は国・地域によって大きく異なり、狂犬病予防接種証明書や健康証明書に加えて、抗体価検査や事前の輸入許可申請が求められる渡航先もあります。ここでは主な渡航先の考え方を紹介しますが、要件は変更されることがあるため、渡航前に必ず渡航先当局の公式情報で最新の内容を確認してください。
アメリカ合衆国(米国)
米国疾病予防管理センター(CDC)は2024年に犬の輸入手続きを変更し、狂犬病の高リスク国リストに含まれるかどうかにかかわらず、すべての犬について「CDC Dog Import Form」のオンライン事前申請を必須としました。日本はCDCの高リスク国リストには含まれておらず、マイクロチップの装着・生後6ヶ月以上であること・健康であることに加えて、この「CDC Dog Import Form」のオンライン事前申請が必要です。ただし、実際に適用される要件は渡航・滞在履歴など個別の状況によっても変わることがあるため、「高リスク国リストに載っていないから条件を満たす」と自己判断せず、ご自身のケースに当てはまる要件をCDC公式サイトで必ず確認してください(出典: CDC、2026年7月確認)。州によって追加の規定がある場合もあるため、渡航先の州の情報もあわせて確認しましょう。ハワイ・グアムは本土と異なる独自の検疫制度を持つため、渡航する場合は個別の確認が必要です。愛犬とハワイ旅行完全ガイド、愛犬と行くグアム旅行完全ガイドもあわせてご覧ください。
EU諸国
EUへの渡航では、マイクロチップ装着後に狂犬病ワクチンを接種し、その記録をEU統一様式の動物健康証明書に記載する必要があります。初めて狂犬病ワクチンを接種する場合は、接種完了から21日以上の待機期間を置く必要があります(有効期間内に継続して追加接種している場合、この待機期間は不要です)。2026年4月22日からEUの新しいペット渡航規則が施行されており、動物健康証明書の様式や管理が更新されています。狂犬病抗体価検査の要否は日本の入国区分によって変わるため断定できません。最新情報は欧州委員会の公式ページ(確認日2026年7月)で必ずご確認ください。
英国(EU非加盟)
英国はEUに加盟していないため、EUのペット渡航規則とは別の独自制度(GOV.UK基準)に従います。犬については、入国1〜5日前に条虫(タペワーム)駆虫薬を投与し、動物健康証明書に獣医師が記録することが必須です(フィンランド・アイルランド・北アイルランド・マルタ・ノルウェーから直接入国する場合は対象外)。猫・フェレットには条虫駆虫の義務はありません(出典: GOV.UK、確認日2026年7月)。そのほかの要件はGOV.UK公式サイトでご確認ください。
オーストラリア
オーストラリアは厳格な検疫制度で知られています。狂犬病抗体価検査をはじめとする複数の検査・書類が事前に必要で、輸入許可の申請も求められます。到着後は一定期間の係留検疫が課されます。必要な検査の種類・待機期間・係留期間は個体の状況によっても変わるため、具体的な条件はオーストラリア農業・漁業・林業省(DAFF)の公式情報で必ず確認してください。
猫を連れて行く場合も基本的な流れは同じ
ここまでは犬を中心に説明していますが、猫も同様の流れで海外渡航が可能です。マイクロチップの装着、狂犬病ワクチンの接種、健康証明書の取得という基本ステップは犬・猫共通で、渡航先が求める抗体価検査や輸入許可の要否も国・地域単位で決まります。犬種のような品種単位の追加規制は少ない一方、キャリーの規定や機内持ち込みの可否は航空会社ごとに異なるため、渡航前に個別の確認が必要です。
渡航先別・主な必要書類の傾向
| 渡航先 | 主に必要とされる書類・手続き |
|---|---|
| アメリカ合衆国 | マイクロチップ装着、生後6ヶ月以上であること、CDC Dog Import Formのオンライン事前申請 |
| EU諸国 | マイクロチップ証明、EU統一様式の動物健康証明書、狂犬病ワクチン証明書 |
| 英国 | 動物健康証明書、狂犬病ワクチン証明書、条虫駆虫の記録(犬のみ) |
| オーストラリア | 輸入許可、狂犬病抗体価検査証明書、複数の健康検査証明書 |
実際に必要な書類・要件は個体の状況や渡航時期によって変わります。必ず渡航先当局の公式情報でご確認ください(確認日: 2026年7月)。
飛行機での移動:航空会社の対応とクレート選び
ペットとの海外渡航では、一般的に飛行機を利用します。安心して空の旅ができるよう、航空会社の規定やクレートの条件を早めに把握しておきましょう。
航空会社のペットポリシー
国際線では、ペットを貨物室に預ける「受託手荷物」としての輸送が中心です。事前予約が必須で、追加料金がかかることがほとんどです。外資系航空会社の一部では、小型犬・猫であればキャビンへの機内持ち込みを認めている場合もありますが、体重やキャリーサイズの条件は航空会社ごとに異なるため、該当する場合は事前確認が欠かせません。短頭種(パグ、フレンチ・ブルドッグなど)は、呼吸器リスクの関係で夏季を中心に輸送を制限・禁止する航空会社があります。該当する場合は短頭種の国際線の制限と対策を必ずご覧ください。
IATA基準のクレート準備
クレートは国際航空運送協会(IATA)が定めるLive Animals Regulationsの基準に適合したものを用意します。強度・通気性・施錠機能などの要件を満たすことが求められ、愛犬・愛猫が立ち上がっても頭が当たらず、方向転換できるサイズが目安です。実績のあるメーカー品を選び、フライトの数週間前からクレートに慣れさせておくと、移動時のストレス軽減につながります。クレート選びについてはペット用クレート(ゲージ)の選び方で詳しく解説しています。
当日のチェックポイント
搭乗直前に大量の食事をさせるのは避け、軽めに済ませましょう。水分は十分に与えつつ、クレート内でこぼれない工夫も必要です。事前に散歩をして排泄を済ませ、適度に疲れさせておくとフライト中のストレス軽減が期待できます。ペット連れは通常の乗客より搭乗手続きに時間がかかることが多いため、余裕を持って空港に到着し、航空会社のカウンターで最終確認をしましょう。機内でのペットの安全対策はペットと飛行機に乗るための安全対策完全ガイド、長時間フライトでのストレス対策はペットの飛行機移動を快適にするストレス対策ガイドで詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。ペットフレンドリーな航空会社を比較したい方はペットフレンドリー航空会社ランキングも参考にしてください。
現地での過ごし方:快適に過ごすためのコツ
渡航先に到着したあとは、宿泊先・食事・散歩・緊急時の備えという4つのポイントを整えることで、ペットがストレスなく過ごしやすくなります。
宿泊先の選択
ペットフレンドリーなホテルや民泊を選び、チェックイン時に「ペットOKの部屋」「館内でのルール」を確認しましょう。ペット料金やデポジットが必要な宿泊施設もあるため、予約段階で詳細を把握しておくと安心です。
食事・水分管理
急にフードを変えると下痢や食欲不振につながることがあります。普段のドッグフード・キャットフードを持参し、現地のフードへ切り替える場合は少しずつ慣らしていきましょう。水道水が合わないこともあるため、短期旅行であれば市販のミネラルウォーター(軟水)を用意しておくと安心です。
散歩・運動
渡航先のリード着用義務や、犬の立ち入りが制限されているエリアなど、現地のルールを確認して散歩しましょう。ドッグランや公園、ペット同伴可能な施設があるか、事前に調べておくとスムーズです。
緊急時の対策
渡航先で動物病院を利用する可能性も想定し、24時間対応の動物病院の連絡先をメモしておきましょう。迷子対策として、日本国内の連絡先だけでなく、現地の滞在先の連絡先を記載した迷子札を用意しておくのもおすすめです。言葉の壁が不安な場合は、「Pet Emergency」「My pet needs help」など、緊急時に使える簡単なフレーズを事前にメモしておくと安心です。
帰国するときも検疫は必要?
はい、必要です。日本は狂犬病の発生がない国のため、マイクロチップ装着後の狂犬病ワクチン2回接種、抗体価検査、採血後180日間以上の待機などの要件を満たす必要があります。楽しい旅行を終えて日本に再入国する際も、出国前から帰国を見据えた準備を進めておくことが大切です。なお、以下は指定地域以外からの入国を前提とした一般的な要件です。指定地域からの入国には別の要件が定められているため、該当する場合は動物検疫所の指定地域ページでご確認ください。
事前届出
日本に到着する日の40日前までに、到着予定の空海港を管轄する動物検疫所へ事前届出を提出します。届出が受理されると、動物検疫所から「届出受理書」が交付されます(動物検疫所、確認日2026年7月)。
狂犬病予防注射・抗体価検査・待機期間
マイクロチップ装着後に狂犬病予防注射を2回以上接種し、1回目から30日以上の間隔をあけて2回目を接種します(接種は生後91日齢以降)。あわせて、狂犬病に対する抗体価が0.5IU/ml以上であることを確認する検査を受け、採血後、日本到着まで180日間以上の待機期間を置く必要があります。抗体価検査の結果は採血日から2年間有効です(動物検疫所、確認日2026年7月)。要件を満たさない場合、最長180日間の係留検査が発生することがあります。
入国当日の流れ
到着後は空港の動物検疫所で書類を提示し、ペットの検査を受けます。必要な書類が揃い、待機期間などの要件を満たしていれば検疫はスムーズに進みます。要件を満たしていない場合は、施設での係留検査が必要になることがあります。
よくある失敗事例と注意点
渡航直前になって慌てないよう、実際によくある失敗パターンを先に確認しておきましょう。
日本はCDCの高リスク国リストに含まれていませんが、米国への犬の入国には狂犬病予防接種証明書ではなく、マイクロチップ装着・生後6ヶ月以上であることなどの条件を満たしたうえで「CDC Dog Import Form」のオンライン事前申請が必要です。適用される要件は渡航・滞在履歴によっても変わることがあるため、「高リスク国リストに含まれていないから大丈夫」と自己判断せず、渡航前に必ずCDC公式サイトでご自身のケースに当てはまる要件を確認しましょう。
狂犬病ワクチンは、原則としてマイクロチップ装着後の接種が有効とされます。装着してから接種する順番を必ず守りましょう。
正しくは、輸出検査の申請は検査希望日の14日前まで、検査の実施は出発10日以内です(動物検疫所)。申請期限と検査時期を混同すると、間に合わなくなることがあります。
帰国に向けた抗体価検査や待機期間は、出国前から準備しておく必要があるものが含まれます(動物検疫所)。旅行の日程が短くても、出国前に帰国時の要件を確認しておくことが大切です。
英国はEUに加盟しておらず、EUのペット渡航規則とは別の独自制度に従います。犬の場合は入国前の条虫駆虫薬の投与が必須です(GOV.UK)。渡航先ごとに制度が異なる点に注意しましょう。
渡航前チェックリスト
ここまでの内容を、出発前に確認しておきたい項目としてまとめました。渡航前の最終確認にご活用ください。日本側の手続きの詳細は動物検疫所公式サイトでも確認できます。
よくある質問(FAQ)
PetAirJPNができること
ペットとの海外旅行には、出国前の手続きから渡航先の入国要件、航空会社への対応、帰国時の検疫まで、把握しておくべきことが数多くあります。PetAirJPNは、これらの準備を飼い主様と一緒に整理し、必要なステップと時期をご案内しています。
渡航前カウンセリング
渡航先の動物検疫要件や航空会社のルールを踏まえ、いつ何をすべきかのスケジュールをご案内します。
書類準備のサポート
健康証明書や各種申請書類など、間違えやすいポイントを一緒に確認します。行政書士による手続きが必要な場合は、行政書士と連携してご案内します(申請業務は行政書士が担当します)。
動物検疫所とのやり取りのサポート
必要書類の準備状況やスケジュールの整理をサポートし、当日の手続きがスムーズに進むようご案内します。
航空会社・輸送手配のご案内
クレートの準備や輸送ルートについて、飼い主様の状況に合わせてご案内します。
各国の輸出入規制や航空会社の条件は変更されることがあるため、PetAirJPNのスタッフが最新情報の確認をお手伝いします。ご自身での準備に不安がある方や、忙しくて手が回らない方は、ぜひご相談ください。
🐾 ペットの海外旅行、まずは無料相談から
渡航先・出発希望時期・ペットの状況をお知らせください。
必要な手続きと期限をまとめてご案内します。
完全無料|オンライン対応可|土日祝も受付
まとめ:ペットとの海外旅行を安心して楽しむために
ペットとの海外旅行には、日本出国前の検疫手続き、渡航先ごとの入国要件、航空会社への対応、そして帰国時の検疫という複数の段階があります。マイクロチップの装着や狂犬病ワクチンの接種といった基礎的なステップに加え、渡航先に応じた要件をクリアすることが求められます。
帰国時も、抗体価検査や事前届出など日本側の検疫手続きを理解していないと、空港で長期間の係留検査が発生するリスクがあります。短期旅行であっても、出国前から帰国後までを見据えたスケジュールを立てておくことが、ペットと安心して海外旅行を楽しむための鍵になります。
準備の進め方に迷ったときは、PetAirJPNのような専門サポートに相談することで、必要な手続きと時期を整理できます。渡航先と出発予定時期が決まったら、まずはお気軽にご相談ください。
執筆: PetAirJPN 編集部(国際ペット輸送の実務チーム)
※この記事の情報は2026年7月時点のものです。各国の検疫規制・航空会社のポリシーは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の渡航可否・要件の確定判断は、各国当局・動物検疫所・航空会社の最新の公式情報を必ずご確認ください。