「愛犬との海外赴任、何から手をつければ…」「猫を連れて帰国したいけど、手続きが複雑すぎて不安…」
そのお気持ち、痛いほどわかります。私たちPetAirは多くの飼い主様の不安な声に耳を傾けてきました。そして断言します。動物検疫は、正しい知識と計画があれば、決して怖いものではありません。
この記事は、単なる手順の解説書ではありません。年間数百件の国際輸送を手がける私たちが、失敗しようがない完璧なタイムラインと、多くの人が陥る落とし穴、そして専門家だけが知る裏技まで、そのすべてを注ぎ込んだ「教科書」です。
最後まで読めば、あなたの不安は確信に変わるはずです。
⚠️ 最重要:はじめにお読みください
この記事は2025年10月時点の情報を基に、万全を期して作成されています。しかし、動物検疫の規則は予告なく変更されることがあります。
手続きを進める際は、必ず農林水産省 動物検疫所(AQS)の公式サイトで最新情報を確認し、本記事はあくまで全体像を把握するための「副読本」としてご活用ください。
自己判断は絶対におやめください。
STEP 1:なぜ動物検疫はこれほど厳格なのか?
まず知ってほしいのは、この手続きの「本当の目的」です。それは、致死率ほぼ100%の感染症「狂犬病」から、日本のすべての人と動物を守るためです。
WHO(世界保健機関)によれば、世界では今なお年間5万人以上が狂犬病で命を落としています。幸いにも、日本はこの病気の根絶に成功した世界でも稀有な「清浄国」です。
空港にいる動物検疫官は、この日本の平和を守る「国境警備隊」です。彼らは、たとえ相手が可愛いペットであっても、書類に1mmの不備があれば断固として入国を許可しません。
🌟 PetAirからの視点
私たちは、この厳しさを「愛」だと考えています。それは、あなたのペットを未知の病気から守り、日本の安全を守るという、二重の愛です。この手続きは、その「愛」に応えるための、飼い主としての責任なのです。
STEP 2:準備のルートを決める「2つの道」と、重大な誤解
準備を始める前に、渡航元の国・地域がどちらのルートに該当するかを確認してください。
ルート | 該当する国・地域 | 特徴 |
---|---|---|
ルートA 指定地域 |
6ヶ所のみ アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ハワイ、グアム |
狂犬病抗体価検査と180日待機が免除。 準備期間は約2〜3ヶ月。 |
ルートB 指定地域以外 |
上記を除く全世界 アメリカ本土、ヨーロッパ全域、アジア諸国、中南米、中東・アフリカ等 |
狂犬病抗体価検査と180日待機が必須。 準備期間は最低7〜8ヶ月。 |
【重大な警告】「指定地域は簡単」という誤解が悲劇を招く
ここで絶対に誤解してはならないのは、「ルートAだから簡単」というわけでは全くない、ということです。
確かに、最も時間のかかる手順は免除されます。しかし、その代わりに「指定地域に間違いなく居住していたこと」を証明する条件が極めて厳格になります。
書類の完璧さ、事前届出の期限厳守など、求められる正確性はルートBと何ら変わりません。
油断すれば、空港で足止めされるリスクは同じです。
STEP 3:【ルートA:指定地域】短期決戦だからこそ油断大敵!4つの鉄則
ハワイやグアムなどからの入国がこれに該当します。以下の4つの条件は、一つでも欠ければ計画が破綻します。
ハワイ、グアムについては以下の記事で詳しく解説しています。
厳格な居住条件を証明せよ
以下のいずれかを、公式書類で完璧に証明する必要があります:
- 出生以来、ずっとその指定地域のみで飼育されている
- 日本へ到着する前の180日間以上、継続してその指定地域のみで飼育されている
- 日本から直接その指定地域へ渡り、他の地域に一切立ち寄らずに日本へ帰国する
最も多い失敗例がこの居住条件の誤解です。「アメリカ本土からハワイに1ヶ月滞在して、そこから日本へ」といったケースは、指定地域の条件を満たしません。
40日前の事前届出は絶対
ルートBと同じく、日本到着の40日前までに動物検疫所への届出が必須です。
1日でも遅れれば受理されません。
届出受理書がないと、航空会社が搭乗を拒否する場合があります。余裕を持って届出を。
政府機関発行の「お墨付き」が必須
現地の政府機関(ハワイならハワイ州農務省など)が発行した、条件を満たしていることを証明する公式の健康証明書が必要です。
証明書の記載事項に1つでも不備があれば、空港で係留となります。必ず事前に記載内容を確認してください。
日本への直接輸送
指定地域から日本へ、他の国・地域を経由せずに入国しなければなりません。
乗り継ぎがある場合は、同じ指定地域内での乗り継ぎのみ可能です。
航空券予約時に、乗り継ぎ地が指定地域内であることを必ず確認してください。
💡 PetAirからの視点
「継続して180日間」という条件の解釈で、多くの方が計画変更を余儀なくされています。少しでも不明な点があれば、必ず動物検疫所または専門家に相談してください。
STEP 4:【ルートB:指定地域以外】失敗ゼロの完璧ロードマップ
アメリカ本土やヨーロッパ、アジア各国からの入国がこれに該当します。この通りに進めれば、失敗しようがありません。
マイクロチップ装着
【最重要】必ずISO規格(15桁)を!
これより前の予防接種は全て無効です。獣医師に「動物検疫用です」と明確に伝えてください。
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チップ番号が証明書に正確に記載されているか、その場で必ず確認。番号の読み間違いが係留の原因になることも。
マイクロチップについては以下の記事で解説しています。
狂犬病予防接種(1回目)
マイクロチップ装着後、生後91日齢以降に接種。
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接種証明書のチップ番号と個体情報が一致しているか、その場で確認を。獣医師のサイン・日付・ワクチンのロット番号も必須です。
狂犬病については以下の記事で詳しく解説しています。
狂犬病予防接種(2回目)
1回目から30日以上あけて接種。
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ワクチンが「不活化ワクチン」であることを証明書に明記してもらってください。生ワクチンは認められません。
狂犬病抗体価検査
2回目接種後に採血し、AQS指定の検査機関へ。
結果が0.5 IU/ml以上必要です。
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この採血日が、180日待機のスタート地点になります。検査機関は必ずAQS指定施設を選んでください。指定外の機関では無効になります。
180日間の待機
1日でも足りなければ即係留。
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採血日を「0日目」と数えず、「1日目」として計算する方が安全です。航空券は余裕をもって予約を。多くの方が、ここで1日のミスをして泣く泣く係留になっています。
日本への事前届出
到着空港の動物検疫所にNACCS等で届出。受理されると「届出受理書」が発行されます。
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これが無いと航空会社が搭乗を拒否する場合も。届出は早ければ早いほど安心です。
出国前の臨床検査
現地獣医師による健康診断。外部寄生虫の有無、一般的な健康状態を確認します。
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この検査は出発直前(通常10日以内)に実施。検査日が古すぎると無効になることがあります。
輸出国政府機関の証明書取得
【最終ボス】
これまでの全記録を輸出国政府(アメリカならUSDA)に提出し、裏書き(Endorsement)をもらいます。
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記載漏れやサインミスが係留の最大の原因。日本の推奨様式(Form AC)の使用を強く推奨します。些細なミスも許されません。
日本の空港で輸入検査
全ての書類原本とペットを提示。検疫官がマイクロチップを読み取り、書類と照合。
✨ 不備がなければ、感動の再会です!
これまでの努力が報われる瞬間。大切な家族との新しい生活が、いよいよ始まります。
STEP 5:【プロが警告】99%の人が知らない、日本出国時の「最大の落とし穴」
❗ PetAirからの警告:帰国時の準備は「出国前」に終えなさい!
短期赴任や旅行で将来日本に帰国する予定があるなら、日本を出る前に、STEP4の④「狂犬病抗体価検査」までを必ず済ませておいてください。
これを怠ると、いざ帰国する際に海外でゼロから準備を始めねばならず、180日間の待機が発生します。
「会社の辞令が出たのに、ペットのせいで帰国できない…」
これは、私たちへのご相談で最も多い悲痛な叫びです。
日本の帰国に関しては以下の記事で解説しています。
STEP 6:【費用と航空会社】専門家だけが知る賢い選択
リアルな費用内訳
マイクロチップ、ワクチン、抗体価検査、証明書取得
ペットのサイズ・路線により変動
最長180日間の係留費用
書類準備だけで約3万〜6万円、航空運賃を含めると総額10万円以上が目安です。係留になれば、追加で50万円以上の出費を覚悟してください。
正しい準備で係留リスクをゼロにすることが、結果的に最大の節約になります。
航空会社選びの3つの鉄則
- ペットの予約を最優先に
人間の席より先に、ペットの搭載枠を確保しましょう。繁忙期は数ヶ月前に満席になることも。 - 短頭種は要注意
フレンチ・ブルドッグ等の鼻ぺちゃ犬は、夏場の輸送を中止する航空会社が多数。早めに航空会社に直接確認を。 - 客室か貨物室か
日系は貨物室、外資系は条件付きで客室可の場合が多いです。ペットの性格や体調を考慮して選びましょう。
ペットフレンドリーな航空会社については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ:愛するペットとの未来を守るための3つの絶対法則
最後に、この長い記事の最も重要なポイントを3つに凝縮します。これさえ守れば、あなたのペット輸送は成功したも同然です。
- 法則1:時間を最大の味方につける(ルートに合わせた計画の徹底)
動物検疫の失敗原因は、準備不足に尽きます。「ルートB」なら最低8ヶ月、「ルートA」でも最低3ヶ月は必要です。今日があなたの準備開始日です。
- 法則2:自己判断を捨て、公式情報を絶対とする
「簡単だろう」という僅かな油断が、空港での足止めという事態に繋がります。ルールは絶対です。必ず農林水産省 動物検疫所の公式サイトを確認してください。
- 法則3:「帰国準備は出国前に」を合言葉にする
これは専門家だからこそ声を大にして言える、最大の秘訣です。将来、日本に帰る可能性が1%でもあるのなら、抗体価検査までを日本で済ませておくこと。この一手間が、未来のあなたとペットを救います。
さあ、あなたの番です。最高の旅立ちを、私たちと。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。2つのルートの違いと、やるべきことが明確になったのではないでしょうか。
もし、少しでも「自分一人では難しいかも」「プロの目でダブルチェックしてほしい」と感じたら、どうか一人で悩まないでください。相談したからといって、無理な営業は一切ありません。
私たちが提供するのは、単なる手続き代行ではありません。大切な家族との新しい生活を、万全の体制でスタートさせるための「安心」です。
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あなたの最高の第一歩を、PetAirが全力でサポートします。
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