愛猫と一緒に海外移住!引っ越しに必要な準備と現地での生活までの徹底ガイド

ペットと海外移住

海外移住は人生の大きな決断ですが、愛猫との絆を考えれば、一緒に連れていきたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、ペットの海外移動には国ごとに厳しい規制があり、準備も煩雑で時間がかかります。

本記事では、愛猫と一緒に安心して海外移住するための準備から現地での生活までを詳しく解説します。愛猫との幸せな海外生活を実現するためのポイントをしっかりおさえていきましょう。

海外移住前の準備項目とその手順

海外移住の決断から実際の渡航まで、**最低3〜6ヶ月の準備期間が必要**です。まずは以下の項目について、計画的に進めていきましょう。

マイクロチップの装着

画像出典:環境省

多くの国・地域で輸入条件とされているのが、マイクロチップ(※)の装着です。これは、皮下に埋め込まれた超小型の電子標識で、ペットの識別情報が記録されています。

万一の脱走時にも、読み取り機さえあれば簡単に身元がわかるため、海外渡航には必須のアイテムと言えるでしょう。

※国際標準化機構が定めた規格「ISO11784」及び「ISO11785」に準拠したものが必要。

装着手順は、以下の通りです。

  1. 動物病院で15桁の番号を持つマイクロチップを購入(1個3,000円程度)
  2. 獣医師により、猫の首筋あたりに注射器で埋め込んでもらう
  3. 装着証明書を発行してもらい、控えをとっておく
  4. 装着後は、定期的に読み取りチェックを行う

渡航まで日数に余裕がある方は、装着後の体調変化も見られるため、半年以上前から実施しておくのがおすすめです。

日本ではマイクロチップを装着した犬や猫を新たに迎え入れた場合、あるいは飼育中の愛犬・愛猫にマイクロチップを装着した場合、飼い主情報の登録を30日以内に行うことが義務付けられています。

2022年6月以降、ペットショップなどで販売される犬と猫には、一部の例外を除き、マイクロチップの装着が原則として義務化されました。

狂犬病予防ワクチンの接種

海外渡航(帰国)に際し、多くの国・地域で義務付けられているのが狂犬病予防ワクチンの接種です。日本では狂犬病の発生はほとんどありませんが、世界では年間5万人以上の死亡者が出ている恐ろしい感染症。猫にとっても死亡リスクが高く、ワクチン接種は必須と言えます。

標準的な接種スケジュールは、以下の通りです。

  1. 生後91日以上の猫に、1回目のワクチンを接種
  2. 1回目から30日以上空けて2回目のワクチンを接種
  3. 渡航日の30日以上前までに2回の接種を完了させる
  4. 接種証明書を発行してもらい、渡航までの間紛失しないよう管理する

なお渡航先によっては、「狂犬病抗体検査」の陰性証明が条件の場合もあります(日本への帰国時は原則必要)。抗体検査は2回目の狂犬病ワクチン接種から180日以上経過後に実施するため、少なくとも渡航の7ヶ月前には1回目の接種を済ませておく必要があります。(例外あり)

輸出入許可証、輸送方法の確認と手配

渡航先によって、必要な輸出入許可証の条件は様々。例えば、以下のようなケースが考えられます。 

Tips– イギリス:輸出入許可証は不要。狂犬病ワクチン証明が必要
– EU諸国:狂犬病、レプトスピラ症の非感染証明が必要
– オーストラリア:猫の輸入は不可。原則として検疫施設に係留
– 香港、シンガポール:輸入許可証の事前取得が必要

渡航の2〜3ヶ月前には、現地政府の輸出入関連機関に問い合わせ、最新の情報を入手しておきましょう。申請手続きに時間のかかる国・地域もあるので、早め早めに動くことが重要です。

また、航空会社によってもペット輸送のルールは異なるため、以下のポイントを事前に確認・手配しておきます。

POINT– 輸送形態(機内持ち込み、手荷物扱い、貨物扱い)の条件と料金
– サイズ・重量の制限があるIATA基準適合のクレート
– ケース内に敷くペットシーツ、マット等
– 渡航当日の給水用ボトル(飲み口が付いたもの)
– 現地の気温変化に対応できる服装(リード、ハーネス等含む)

現地滞在先の受入態勢づくり

ホテルや賃貸物件のペット可否を事前に確認し、受入態勢を整えておくことも大切です。ペット同伴可能な物件は限られるため、余裕を持って探しましょう。

また、現地でのペットシッターや一時預かり先もリストアップしておくと安心です。飼い主の急な出張や病気の際、猫を任せられる存在は心強い味方になるはずです。

移住先の国・地域における動物輸入規制と必要書類

改めて、輸入条件は渡航先によって大きく異なります。東南アジア諸国の一部では輸入そのものが認められないケースもあるため、事前の情報収集が何より重要。

規制の例として、以下のようなものがあります。

Tips– 輸入許可証の取得(シンガポール、香港等)
– 狂犬病ワクチン接種証明書(多くの国・地域で必須)
– 輸出国政府機関発行の動物検疫証明書
– 輸出前、輸入後の一定期間の係留(最大180日の場合も)
– 特定の感染症(狂犬病、レプトスピラ症等)の陰性証明
– マイクロチップの装着(ISO規格適合品)

これらの必要書類や手続きについて、漏れのないよう詳細なチェックリストを作成しましょう。そして獣医師とも相談しながら、スケジュール通りに進められているか常に確認を。

想定外の規制変更などで、輸出入のタイミングがずれ込むこともありえます。猫の健康と安全を最優先に、臨機応変に対応していく柔軟な姿勢を心がけましょう。

航空機での猫の輸送方法と注意点

ここからは、いよいよ愛猫と一緒に空の旅。移動のストレスをできるだけ軽減し、快適に過ごしてもらうための対策について説明します。

機内持ち込み(キャビン内)

飛行機の客席に猫を同伴できる輸送形態です。キャビンバッグ(※)と呼ばれる専用のキャリーケースを足元に置き、移動中も様子を見守れるため、猫へのストレスは最小限に抑えられます。

※機内に持ち込める猫用キャリーケースのサイズ・重量は航空会社によって細かく定められています。事前の確認を忘れずに。

ただし、機内持ち込みができるのは、以下の条件を満たす場合に限られます。

POINT– 猫の体重:一般的に5〜8kg以下
– ケージのサイズ:機内持ち込み手荷物の制限内
– 1名あたりの同伴数:多くの場合、1ペットまで
– 予約枠:通常、搭乗者の一部のみ受け入れ可能

ほとんどの航空会社で、機内持ち込みは「先着順」の受付となるため、渡航日が決まったら即予約を入れるのがおすすめです。航空券の予約状況によっては、同伴枠自体が設定されないケースもあるので注意しましょう。

手荷物扱い(貨物室)

機内持ち込みの対象外となる猫は、スーツケース等と同じ手荷物扱いで、貨物室に預けて輸送することになります。

貨物室は与圧・空調が完備されているため、キャビン内と同様の環境とはいえ、長時間のフライトでは猫への負担も大きくなります。

手荷物扱いで輸送する際は、以下の点に注意しましょう。

POINT– ハードタイプのケージを使用し、強度や通気性を確保
– ケージ内にはペットシーツ、食事や水を適量準備

特に、ケージは航空会社のガイドラインをしっかりチェックサイズ・重量・素材の条件をクリアしていないと、予約時に断られるおそれがあります。

ケージ内の配置についても、細かな規定がある場合が多いので要注意です。

ペットの空輸に向けたしつけ

それでは、フライト本番に向けた猫へのしつけについて見ていきましょう。

まずは、ケージやキャリーバッグに慣れるためのトレーニング。以下の手順で、少しずつ練習を積み重ねていきます。

  1. 室内でケージを開けた状態にして、中に好きなおもちゃ等を入れておく
  2. ケージの周りを歩いたり中を覗いたりと、好奇心を刺激
  3. ケージの中に入って、飼い主も隣に座ってあげる
  4. 数分ケージに入らせ、ほめたりおやつをあげたりしてご褒美を
  5. 段階的に時間を延ばし、30分ほど平気でいられる状態を目指す

こうしたトレーニングを通じ、ケージが「安心できる場所」と認識されれば、フライト時の様子見がぐっと楽になるはずです。

併せて、以下の基本的なしつけも大切です。

– トイレをケージ内ですませる練習
– 水や食事を与える際の合図に反応できるようにする
– 指示したら静かにしていられる訓練

移動時のストレスは、飼い主自身の言葉がけでも和らげられます。落ち着いたトーンで語りかけ、猫に安心感を与えましょう。

現地での獣医探しとペット用品の調達先

無事に猫と到着したら、まずはペットフレンドリーな宿泊先を確保。できるだけ長期滞在も可能な物件を選ぶと、猫も新しい環境に慣れやすくなります。

次に、現地の獣医事情について見ていきましょう。

日本人の利用者が多い動物病院

言葉や習慣の違いから、現地の獣医を敬遠する飼い主は少なくありません。しかし、「病気やケガをしたらどうしよう」と不安に感じるのも無理はないでしょう。

そんな時は、日本人駐在員等に積極的に情報を聞いてみるのがおすすめ。「この動物病院は日本語も通じる」「夜間対応もしっかりしている」など、実際の利用者ならではの意見は、病院選びの強い味方になるはずです。

ベテラン駐在員の多い地域であれば、「日本人向けのペット医療情報サイト」等もあるかもしれません。先達の知恵を借りながら、信頼できる獣医さんを見つけていきましょう。

大手の海外旅行保険付帯のサポート

海外旅行保険の中には、現地での動物医療機関の紹介サービス等を付帯しているものもあります。渡航前にペット保険も含めた保険内容を見直し、もしもの事態に備えておくのも良い選択肢。

例えば以下のような安心サポートが利用できる場合も。

– 24時間体制の獣医相談サービス
– 現地語での獣医との通訳サポート
– 緊急移送時の手配代行

費用対効果を考えながら、愛猫の健康維持に役立つサービスがあれば、積極的に利用を検討してみてはいかがでしょうか。

現地のペット用品店事情

海外では、ペットフードや猫砂などの嗜好品が手に入りにくいこともしばしば。特に発展途上国では、品揃えの少なさに驚かされるかもしれません。

そこで事前に、現地の日本人コミュニティ等で「おすすめペットショップ」を聞いておくと安心です。口コミで評判の高い店舗であれば、ある程度必要なアイテムは揃うはず。

また最近は、世界各国へ直送してくれる「ペット用品の越境ECサイト」も増えてきました。送料等のコストはかかりますが、日本製のこだわりフードや砂も、海外から購入するルートが広がっています。

食事や排泄は猫の健康に直結する大切な項目。飼い主の工夫次第で、自宅での快適なペットライフも実現できるでしょう。

猫の海外生活での健康管理と予防接種

海外での生活では、猫の健康管理がいっそう重要になります。具体的には、以下のようなケアを強化していきましょう。

現地の感染症に関する情報収集

日本にはない感染症が流行している国・地域も多くあります。例えば、以下のような症例も。

– 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
– 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
– 猫伝染性腹膜炎(FIP)

これらはワクチンで予防できるものもありますが、まずは現地の獣医師から最新情報を得ることが大切。感染リスクの高い疾患を把握し、先を見据えた対策を講じていきましょう。

的確な予防接種スケジュール管理

海外生活では、猫の予防接種スケジュール管理にも注意が必要です。

一般的に、以下のような接種間隔が求められます。

– 狂犬病:年1回
– 混合ワクチン:年1回
– 白血病:年1回

ただし、これはあくまで目安。現地の罹患率等によっては、より頻回な接種が推奨される場合もあります。かかりつけの獣医師とよく相談しながら、猫に合ったスケジュールを立てるのがベストでしょう。

なお、狂犬病ワクチンの接種は多くの国・地域で義務付けられています。最新の接種履歴を証明する書類の携帯も忘れずに。

海外渡航に伴うストレスへの配慮

猫は環境の変化に敏感な生き物。海外への長旅や新天地での暮らしは、大きなストレスになることも考えられます。

以下のような症状が見られたら、ストレスが関係している可能性も。

– 過度の鳴き声
– 食欲不振
– 頻繁な嘔吐や下痢
– 過剰なグルーミング(毛づくろい)

ストレスフルな状態が長く続けば、免疫力の低下にもつながりかねません。できる限り、以下のような工夫で、猫の負担を減らすよう努めましょう。

POINT– 旅行の前からキャリーでの移動に慣らしておく
– 現地でも、なるべく専用のスペースを確保する
– ストレス解消グッズ(ネズミのおもちゃなど)を用意
– 飼い主自身が落ち着いて接する

猫の健康管理は飼い主の細やかな観察力が何より大切。小さな変化も見逃さず、愛情たっぷりに寄り添っていきたいものです。

トラブル事例と解決策

最後に、渡航時によくあるトラブル事例を取り上げます。万が一の際も慌てず対処できるよう、イメージトレーニングを積んでおきましょう。

輸送中の体調不良やストレス

長時間のフライトは、人間でも非常に疲れるもの。ましてや猫は、慣れない環境の連続にストレスも感じているはずです。

具体的には、以下のようなリスクを想定しておく必要があります。

– 脱水症状、熱中症
– パニック(鳴き叫ぶ、暴れる等)
– ケージ内での嘔吐、排泄
– ケガ(爪を引っかけるなど)

こうしたトラブル対策の鍵は、「準備と観察」の2点に尽きます。

輸送用ケージは、十分な換気性能と丈夫さを備えた大き目サイズを。中に水や食事を入れる際は、こぼれにくい容器の選定も大切です。

心配であれば、軽い安定剤の処方を獣医師に相談する方法も。ただし、副作用等のリスクもあるため、慎重な判断が求められます。

フライト中は、できる範囲で様子を見守りましょう。体調の優れない様子が見て取れたら、到着後すぐにケアを。脱水の具合によっては、点滴補給が必要な場合もあります。

備えあれば憂いなし。移動のシミュレーションを事前に繰り返し、猫を守るための最善策を考えておくことが何より大切だと言えるでしょう。

現地での脱走やケガ

海外生活では、猫の脱走やケガのリスクも高くなります。慣れない電化製品によるヤケドや、車の多い地域での交通事故など、危険はあらゆる場面に潜んでいます。

まずは、脱走対策の基本を抑えておきましょう。

Tips– 首輪やマイクロチップに、最新の連絡先を記載
– 部屋に猫よけグッズ(柵など)を設置
– 窓の施錠、網戸の設置は念入りに

加えて、新しい環境では目をなるべく離さない、というのが鉄則。猫の居場所や表情をこまめにチェックし、いち早く異変に気づける観察力を養っていきたいものです。

そして何より、「うちの子は絶対に外に出ない」と過信は禁物。油断していると、ふとした隙に驚くほど素早く猫は外に出てしまうもの。

常に「もしも」の事態を頭に入れ、その上で飼い主ができる最大限の備えを。そんな日々の心構えが、猫との安全な暮らしにつながるはずです。

まとめ

いかがでしたか? ペットの海外引越しは、想像以上に準備することが多いもの。書類の手配、健康診断、トレーニング、トラブル対処等、移動までの道のりは長く感じられるかもしれません。

それでも、愛する猫と幸せな思い出を重ねたい。そんな飼い主の想いがあれば、困難もきっと乗り越えられる。笑顔で新生活をスタートさせられるはずです。

冒頭でも紹介した通り、今回のテーマには**専門的なサポートがおすすめ**。各種手続きのアドバイスから、現地の病院探しまで、頼れるプロの存在は心強い限りです。

時にはリスクを想定しつつ、前を向いて一歩ずつ進んでいきましょう。愛猫とのかけがえのない時間は、思わぬ形で飼い主自身の成長も後押ししてくれるはず。

新たな環境でのペットとの暮らしが、ますます充実したものになりますように。心からの応援を込めて。以上、「愛猫と一緒の海外移住ガイド」をお届けしました。

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