はじめに:なぜイギリスへのペット渡航はハードルが高い?
イギリスは世界でも屈指の狂犬病清浄国として知られ、他国から犬や猫を連れて入国するには厳格なルールを守らねばなりません。狂犬病ワクチンやマイクロチップ装着は当然として、犬の場合はエキノコックス(条虫)の駆除も必須です。
また航空面でも、イギリス政府の規定により一般ペットを客室に乗せられず、原則貨物室での輸送しか認められていない点が、飼い主にとって大きな不安材料となります。
狂犬病清浄国とは、狂犬病の発生がほとんどない国のことで、そのため入国審査が厳しくなっているんですよ。
一方で、「フランスや他のEU加盟国にまず渡航し、そこからユーロトンネルでイギリス本土に陸路移動する」方法を使えば、機内同伴や受託手荷物扱いが可能になり、ペットのストレスを大幅に軽減できる可能性があります。この記事では直行便による貨物輸送と、フランス経由のユーロトンネル利用を比較しながら、英国入国の条件や手続き、そしてイギリス国内でのペット生活のポイントを解説します。
イギリス入国の基本ルール
マイクロチップ装着と狂犬病ワクチン
イギリスでは、ISO規格マイクロチップ(15桁)をまずペットに装着し、その後に狂犬病ワクチン(初回接種後21日以上経過を要する)を行う必要があります。日本はイギリスから見て狂犬病低リスク国に分類されるため、抗体検査は不要ですが、このワクチン接種とマイクロチップの順序を守らないと入国が認められません。
犬の場合、イギリス到着前24~120時間以内にエキノコックス駆除薬を投与し、その記録を獣医師が書類に残すことも義務付けられています。特定犬種(ピットブル・テリア、土佐犬など4種)は持ち込み禁止なので注意してください。
順序が大切なんだね!マイクロチップを先に装着してから狂犬病ワクチンを接種する必要があるんだ。
マイクロチップと狂犬病ワクチンについては以下の記事で詳しく解説しています。
日本の動物検疫所で輸出検査
出発前に日本の動物検疫所で輸出検査を受けることが法律で定められています。出発7~10日前までに申請し、当日または直前にペットと一緒に検疫所を訪問すれば、イギリス側で求められる英文証明書(GB Pet Health Certificate)を作成してもらえます。
発行日から10日以内にイギリス到着しないと書類が無効になるため、航空券や陸路移動スケジュールとの調整が大切です。
禁止犬種と隔離リスク
イギリスでは「Dangerous Dogs Act」という法律があり、特定犬種(ピットブル系、土佐犬、ドゴ・アルヘンティーノ、フィラ・ブラジレイロ)が持ち込み禁止。見た目が類似するだけでも持ち込みを拒否される恐れがあります。
また必要書類やワクチン・駆虫条件を満たさない場合は最長4か月もの隔離が課されることも。イギリス入国前に、すべての要件を正確にクリアしているか必ずチェックしましょう。
・その後に狂犬病ワクチン接種(21日以上経過必要)
・犬はエキノコックス駆除薬の投与(到着前24~120時間以内)
・日本の動物検疫所での輸出検査と証明書取得
・証明書発行から10日以内にイギリス到着
・特定犬種の持ち込み禁止に注意
直行便での貨物輸送
なぜ客室同伴は不可なのか?
イギリスへの直行便(ロンドン行きなど)では、JALやANA、ブリティッシュ・エアウェイズなど多くの航空会社が補助犬以外のペット客室同伴を認めていません。イギリス政府の防疫規定により、ペットは貨物室に載せなければならないからです。
これが飼い主とペット双方の負担を増やす最大要因といえるでしょう。
補助犬とは、盲導犬や聴導犬、介助犬など障害のある方をサポートする犬のことです。一般のペットとは区別されています。
貨物輸送の流れ
1. 航空会社(貨物部門)に予約
– ペットの種類・サイズ・ケージ重量を申告し、搭乗予定便との連携を確認。
2. 出発日の空港で手続き
– 検疫所の輸出証明を持参し、貨物地区でペットを預ける。
– Air Waybill(貨物運送状)が発行される。
3. 到着地(例:ヒースロー空港)の動物検疫施設へ
– 飼い主は人用の入国手続きを済ませた後、動物検疫施設へ行き、書類・マイクロチップ照合を受け手数料を支払う。
– 問題なければペットを引き取れるが、2~3時間かかることも多い。
メリット・デメリット
– メリット
– 直行便のためフライト時間が短く、経由地での手間が少ない。
– 書類はイギリス要件のみで比較的シンプル。
– デメリット
– 大型犬や長毛種ほど運賃が高額(数十万円以上のケースも)。
– 貨物室環境で長時間過ごすことになり、ペットに大きなストレス。
– 到着後も受け取りまで時間がかかる。
私は大型犬を連れてイギリスに引っ越しましたが、直行便の貨物輸送では50万円近くかかりました。手続きはシンプルでしたが、愛犬の負担を考えると不安な時間でした。
・書類手続きがシンプル
・ペットへの負担が大きい
・高額な費用がかかる場合がある
・到着後の引き取りに時間がかかる
フランス経由ユーロトンネル利用
フランス入国では機内同伴が可能に?
フランスや他のEU加盟国へ向かう便では、小型犬や猫なら機内キャビンに乗せる(制限体重約8kg前後)ことを認める航空会社が多いです。たとえばエールフランスやKLMでは、ケージ込み8kg以下であれば客室内に持ち込みOKという方針があります。
大型の場合は受託手荷物として貨物室に乗せますが、イギリスのような政府規定で「貨物扱いのみ」とはなっていないため、受託手荷物で預けられる場合もあり、イギリス直行便に比べペットへの負担が軽減されやすいです。
フランス経由なら小型ペットは飼い主と一緒に機内に乗れるから、ペットのストレスが少なくて済むんだね!
ユーロトンネル(ル・シャトル)でイギリスへ
フランスからイギリスに渡る際、フェリーかユーロトンネル(ル・シャトル)のどちらかを選択できます。ユーロトンネルは海底鉄道を車両ごと乗り込むシステムで、約35分でドーバー海峡を横断します。
ペットタクシーを利用すれば、ペットは車内で飼い主と一緒にいられるため、二度目の貨物室預けが不要なのが大きな魅力です。
二重手続きの注意点
– EU(フランス)入国要件
– 狂犬病ワクチンやマイクロチップは共通だが、フランス到着時はEU向けの健康証明書(Annex書式)が必要になる場合も。
– イギリス入国要件(Pet Travel Scheme)
– 再度、犬はエキノコックス駆虫処置を適切なタイミングで実施しているか確認される。
– 書類管理が複雑
– 日本出発前に英国用とEU用、それぞれの書式を動物検疫所で作成してもらうとスムーズ。
私は猫を連れてパリ経由でロンドンに行きました。フランス入国とイギリス入国の両方の書類を用意するのは大変でしたが、愛猫を機内に連れていけたので安心できました。ユーロトンネルの車内では、猫も私もリラックスして移動できましたよ。
・フランスとイギリス、両国の入国要件に対応する必要がある
・ユーロトンネルではペットと一緒に移動できる
・書類手続きは複雑だが、ペットの負担は軽減できる
項目 | イギリス直行便(貨物輸送) | フランス経由(機内同伴 or 受託手荷物+ユーロトンネル) |
---|---|---|
輸送形態 | 原則貨物室での輸送。受託手荷物や客室同伴不可 | 小型犬猫なら機内同伴可、大型でも受託手荷物扱いになりやすい |
費用 | 大型犬ほど貨物料金が跳ね上がり、 数十万円に達する場合も |
航空券+ユーロトンネル+タクシー代はかかるが 貨物輸送より安い場合が多い |
ペットの負担 | 貨物室で長時間。 夏季や短頭種はリスク高め |
飼い主と同じフライト・陸路で移動できるため ストレス軽減 |
手続きの手間 | イギリス入国要件のみでOK | EU(フランス)とイギリスの二重書類管理が必要 |
到着後の流れ | ヒースローなどの動物検疫施設で 数時間かけ書類確認と受取 |
フランス側でチェック→ユーロトンネル→英国入国審査 そのまま車で移動可能 |
イギリスでのペット事情:ライセンス・住宅・保険など
マイクロチップ登録と首輪タグ
イギリス(イングランド・ウェールズ・スコットランド)では犬のマイクロチップ装着が法律で義務付けられており、2024年6月からは猫も義務化がスタートすると発表されています。日本のチップを入れていても、英国公認データベース(PetLogなど)に飼い主情報を登録し直さないと違法となる可能性があるため、到着後は迅速に手続きをしましょう。
また公共の場所で犬を散歩させるときは、首輪に飼い主の名前・住所を記載したIDタグをつけることも法律で義務付けられています(首輪に電話番号を加える人も多いです)。
日本でマイクロチップを入れていても、イギリスの公認データベースに再登録が必要です!これを忘れないでくださいね。
ペット可物件は少なめだが改善傾向
賃貸住宅では「No Pets」とするオーナーがまだまだ多く、ペット可物件は少ない印象です。とはいえ最近はモデル賃貸契約の改定で「ペットを無条件に拒否してはならない」という方向に動いており、以前よりは探しやすくなりつつあります。
ZooplaやRightmoveなど大手ポータルサイトで「Pets allowed」フィルターを使うのが定番ですが、物件探しに時間がかかることも珍しくありません。長毛犬や大型犬の場合、大家さんから追加デポジットやペット保険の提示を求められることもあるので交渉が必要です。
獣医の医療費と保険
イギリスは民間獣医が主流で、NHSのような公的保険はありません。そのため手術や長期治療では数千ポンド単位の費用が発生することがあり、ペット保険(ManyPetsやPetplanなど)に加入する人が少なくありません。
月額£15~£50程度で補償範囲が異なり、持病があるペットだと保険料が上がりやすいのが特徴です。ペット保険に加入していない場合、緊急時の費用負担が大きく、飼い主が支払いに苦労するケースもあります。到着後に近隣の獣医を探し、健康診断やワクチンの更新計画を立てておくのがおすすめです。
私の犬がイギリスで急に腸閉塞になった時、手術だけで2,000ポンド(約40万円)近くかかりました。幸い保険に入っていたので大部分が補償されましたが、保険なしだと本当に大変だと実感しました。
公共交通機関とペット
イギリスの鉄道やバスでは、ケージに入れていればペット同伴を認めている路線も多いです。ただし、公共の場では基本的にリード着用が推奨され、フンの処理は当然義務となります。
カフェやパブでも犬連れOKな場所が増えており、街中でもペットとの外出が比較的しやすい印象です。とはいえ、大型犬や吠えがちなペットの場合、周囲への配慮やしつけが欠かせません。
・犬の首輪には飼い主情報のIDタグが法律で義務付け
・住居探しは「Pets allowed」フィルターを活用
・ペット保険への加入を検討する(月額£15~£50程度)
・公共の場ではリード着用とマナーを守る
PetAirJPNのサポート:安心・快適なペット渡航を実現
国際輸送の専門家によるトータルサポート
PetAirJPNは、ペットとの安全かつ快適な旅を実現するための専門的ノウハウと豊富な経験を持つ企業です。イギリスを含む様々な国へのペット輸送実績があり、最新の規制や航空会社の要件を随時アップデートしています。
– 出発前の検疫手続き代行:書類作成や申請をスムーズに行い、誤りを最小限に抑えます。
– 航空便・貨物代理店との連携:直行便の貨物輸送から、フランス経由での機内同伴ルートまで、適切なプランを選定。
– 現地エージェント連携:ペットタクシーやユーロトンネルの予約サポートなど、二国間手続きもまとめてサポート。
「どんな国でも、ずっと一緒に。」というビジョン
PetAirJPNは、ペットを大切な家族として考える飼い主が海外で快適に暮らせるよう、最新の知識と国際輸送の実績で全面的に支援しています。渡航前カウンセリングではペットの健康状態や性格を踏まえ、安全な輸送手段の提案や到着後のトラブルシューティングにも対応。
ペットの種類や年齢、健康状態、渡航目的に合わせたカスタマイズされた最適プランを提供するのが強みです。
専門業者に依頼すると、複雑な手続きや予約の心配が減り、ペットとの渡航がグッと楽になりますよ!
FAQ:よくある質問
Q1. フランス経由は書類が増えると聞きますが、どの程度ですか?
A. EU向けの動物検疫証明(Annex書式)とイギリス向けのGB Pet Health Certificateを両方揃える必要があり、フランス到着後に駆虫処置を再実施する場合もあります。ただし、PetAirJPNのような専門業者に依頼すれば手続き面のサポートを受けられるので安心です。
Q2. 大型犬でもフランス経由なら機内持ち込みできるのでしょうか?
A. 一般的に大型犬は貨物室か受託手荷物扱いになります。小型犬・猫(8kg前後まで)ならキャビン持ち込みを認める航空会社が多いですが、大型の場合はフランス経由でも受託手荷物となるケースが多いです。
とはいえ、イギリス直行便の「貨物輸送のみ」よりは費用や手続きが軽減される傾向にあります。
Q3. イギリスの賃貸物件でペット飼育可を探すのは難しいですか?
A. 「No Pets」物件が依然として多いのは事実ですが、最近はモデル賃貸契約の改定でペット飼育を拒否しにくい流れになっています。早めに調べればペット可物件も見つかるケースが増えていますし、PetAirJPNでも契約時の注意点などをアドバイス可能です。
その他のQ&Aについては以下のURLからご覧になれます。
まとめ:最適なルートと準備でペットも飼い主も安心
日本からイギリスへのペット渡航は、直行便(貨物輸送)かフランス経由(機内同伴や受託手荷物+ユーロトンネル)を選ぶのが一般的な二大ルートです。どちらもイギリス入国要件(マイクロチップ、狂犬病ワクチン、犬の駆虫など)を満たさなければならず、フランス経由の場合はEU要件も追加されて書類管理が二重になります。
しかし、ペットにとって負担が少ないのは後者であり、特に貨物室輸送に不安がある飼い主には有力な選択肢です。
イギリス到着後はマイクロチップ登録(英データベースへの登録)やペット可物件探し、獣医・保険など新生活のセットアップが待っています。PetAirJPNでは、こうした渡航前後のサポートをトータルで提供し、海外でペットと楽しく暮らせる未来を実現します。
経験豊富なスタッフが最新の規制や航空会社ルールを常にアップデートし、個々のペットと飼い主様に合わせた最適プランを提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
PetAirJPN公式サイトにて、無料カウンセリングや各国への実例紹介をチェック!
・小型ペットならフランス経由で機内同伴も可能
・必要な書類と手続きを確実に準備することが重要
・イギリス到着後はマイクロチップの再登録が必要
・ペット可物件探しや保険加入など現地での準備も大切
・専門サービスを利用すれば安心してペットと渡航できる
はじめに:ペットと海外暮らしの現状と課題 世界各国でグローバル化が進む中、海外で暮らす日本人が増えているのは周知の事実です。しかし「愛犬や愛猫などのペットと一緒に渡航したいけど、具体的な手続きがわからない……」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 国際線での渡航にはマイクロチッ...
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