海外赴任や移住の増加に伴い、愛するペットと共に海外で新生活を始めることを希望される方が増えています。シンガポールも例外ではなく、多くの人々がペット同伴での移住を検討しています。しかし、ペットをシンガポールへ入国させるには、日本の制度とは異なる様々な手続きと条件をクリアしなければなりません。
本ガイドでは、日本からシンガポールへのペット(主に犬・猫)の入国方法について、2025年1月に施行される新しい規制に完全対応し、必要な手続き、注意点、費用などを、最新情報に基づき詳細に解説いたします。信頼性の高い情報提供を心がけ、皆様の円滑なペット同伴移住をサポートいたします。
1. シンガポール入国に向けた6ヶ月前からの準備スケジュール: 計画的な進行のために
シンガポールへのペット入国には、計画的な準備が不可欠です。特に、2025年1月からの新規則では、狂犬病抗体検査における採血時期が厳格化されるため、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。以下の表を参考に、着実に準備を進めてください。
表1:シンガポール入国準備スケジュール(2025年1月からの規制対応)
時期 | 必要手続き | 特記事項 |
---|---|---|
6ヶ月前 | ・マイクロチップ装着・狂犬病予防接種(1回目) | ・マイクロチップはISO規格に準拠したものを使用・狂犬病予防接種は生後91日齢以降に実施 |
5ヶ月前 | ・狂犬病予防接種(2回目) | ・1回目の接種から30日以上、かつ1年以内に実施 |
4-5ヶ月前 | ・狂犬病抗体検査用採血 | ・【最重要】シンガポール到着予定日の90-180日前までに採血を完了<br>・2回目の狂犬病予防接種後、2週間以上経過後に採血可能 |
2ヶ月前 | ・輸入許可証申請・航空便予約 | ・輸入許可証はオンラインで申請(NParksウェブサイト)・ペット輸送に対応する航空会社へ早めに連絡、予約 |
10日前 | ・健康診断・輸出検査 | ・指定書式による健康診断書の取得<br>・動物検疫所にて輸出検査を受検 |
2. 2025年1月からのシンガポールペット輸入規制: 主な変更点とその影響
2025年1月1日より施行される新しい規制では、シンガポールへのペット輸入に関する要件が大幅に変更されます。特に、日本帰国後の再渡航を計画されている場合、日本国内での手続きが必要となるため、十分な注意が必要です。
表2:2025年1月からの主な変更点
変更項目 | 新しい規制 | 重要事項 |
---|---|---|
狂犬病抗体検査の採血時期 | シンガポール到着予定日の90-180日前までの採血完了 | 採血時期の条件を満たさない場合、再検査が必要となり、渡航計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
日本帰国後の再渡航 | 日本帰国後、180日以上の日本滞在が必須 | 再渡航を予定している場合、日本国内での長期滞在が必要となります。計画的なスケジュール管理が求められます。 |
海外での狂犬病抗体検査結果 | シンガポールへの入国には無効 | 日本帰国後にシンガポールへ再渡航する場合、日本国内で再度、狂犬病抗体検査を受ける必要があります。 |
- 日本帰国後、速やかに狂犬病予防接種を実施
- 日本国内で新たに狂犬病抗体検査を受ける(海外での検査結果は無効)
- 日本国内で180日間以上の滞在
- シンガポールへの渡航予定日の90-180日前までに採血を完了
この大幅な規制変更により、日本帰国後の手続きが煩雑化します。必ず事前に必要事項を確認し、計画的に準備を進めることが、円滑な再渡航の鍵となります。
3. シンガポール入国手続き: 5つのステップで解説
シンガポールへのペット入国に必要な手続きを、5つのステップに分けて詳細に解説します。
3-1: マイクロチップ装着: 国際基準に準拠した個体識別
項目 | 詳細 |
---|---|
規格 | ISO 11784/11785規格に準拠 |
装着時期 | 狂犬病予防接種前、または同日に実施 |
実施場所 | 獣医療機関 |
推奨登録先 | マイクロチップ登録機関(例:AIPO)への登録を推奨 |
3-2: 狂犬病予防接種: 2回の接種と抗体価検査の重要性
項目 | 時期 | 注意事項 |
---|---|---|
1回目接種 | 生後91日齢以降 | マイクロチップ装着後に実施 |
2回目接種 | 1回目接種から30日以上、かつ1年以内 | |
追加接種 | 狂犬病抗体価有効期間内 | シンガポール到着日まで有効な抗体価を維持 |
3-3:狂犬病抗体検査:採血時期の厳守と指定検査機関の確認(2025年1月からの変更点に留意)
項目 | 内容 | 2025年1月からの変更点 |
---|---|---|
目的 | 狂犬病ウイルスに対する抗体価(中和抗体価)の確認 | |
採血時期 | 2回目接種から2週間以上経過後 | シンガポール到着予定日の90-180日前までに採血を完了 |
検査機関 | 農林水産省の指定する検査機関(RIAS または DVXL) | 変更なし |
必要抗体価 | 0.5 IU/ml以上 | 変更なし |
所要期間 | 結果判明まで約4週間 | 余裕を持った検査計画が必要 |
証明書 | 英文で発行 | 日本帰国後の再渡航時、日本国内で受けた検査結果のみ有効。海外での検査結果は無効となるため注意。 |
3-4: 推奨されるワクチン接種: 複合感染症からの保護
動物 | ワクチン | 備考 |
---|---|---|
犬 | ジステンパー、犬アデノウイルス2型、犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザウイルス感染症、レプトスピラ病など | 5種混合ワクチン等の接種が推奨される。英文の接種証明書取得を推奨 |
猫 | 猫汎白血球減少症、猫カリシウイルス感染症、猫ウイルス性鼻気管炎、クラミジア感染症など | 4種混合ワクチン等の接種が推奨される。英文の接種証明書取得を推奨 |
3-5: 輸入許可証の取得: オンライン申請による事前許可
項目 | 詳細 |
---|---|
申請先 | シンガポール国家開発省・農食品・動物局(NParks/AVS)ウェブサイト |
申請時期 | シンガポール到着予定日の30日前まで |
申請費用 | 約50シンガポールドル |
提出書類形式 | デジタルデータのみ |
4. 航空輸送の手配: 航空会社による規定の差異
ペットをシンガポールへ輸送する際には、航空会社の手配が必要となります。各航空会社によってペット輸送に関する規定が異なるため、事前の確認が重要です。
表3:主要航空会社の対応状況
航空会社 | 対応状況 | 特記事項 |
---|---|---|
JAL | 受託手荷物/貨物 | 事前予約必須。ケージのサイズ、重量制限等、詳細規定の確認が必要 |
ANA | 受託手荷物/貨物 | 事前予約必須。ケージのサイズ、重量制限等、詳細規定の確認が必要 |
SIA | 受託手荷物/貨物 | 事前予約必須。ケージのサイズ、重量制限等、詳細規定の確認が必要 |
確認必須事項:
- ケージのサイズおよび重量制限
- 予約受付期間
- 必要書類
- 料金体系
これらの情報を事前に確認し、適切な航空会社と輸送方法を選択してください。
5. 必要書類一覧: 不備のない書類準備のために
シンガポール入国の際には、以下の書類が必要となります。書類に不備があると入国が認められない場合があるため、慎重に準備し、確認を行ってください。
表4:必要書類一覧
項目 | 書類名 | 発行元 | 原本/コピー | 取得時期/有効期限 | 詳細 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 狂犬病予防接種証明書 | 獣医療機関 | 原本 | 1回目:マイクロチップ装着後、生後91日齢以降 2回目:1回目接種から30日以上、かつ1年以内 最終有効期限:シンガポール到着まで有効であること |
英文で記載。獣医師の署名、接種年月日、ワクチンの種類(不活化ワクチン推奨)、製品名、製造番号(ロット番号)が明記されていること。
狂犬病予防注射済票(犬の鑑札)は、英文の狂犬病予防接種証明書で代用可能。 |
2 | 狂犬病抗体検査証明書 | 指定検査機関 | 原本 | 採血日:シンガポール到着予定日の90-180日前有効期限:採血日から2年間(ただし、狂犬病予防接種の有効期間内に限る) | 英文。指定検査機関(RIAS または DVXL)が発行したもの。犬・猫の個体識別番号(マイクロチップ番号)、採血日、検査方法、抗体価(0.5 IU/ml以上)が明記されていること。2025年1月以降、日本帰国後の再渡航の場合、日本国内での検査結果のみ有効。 |
3 | 健康診断書 | 獣医療機関 | 原本 | 輸出前10日以内 | 英文。シンガポール指定書式(NParks/AVSのウェブサイトからダウンロード可能)。獣医師による臨床検査結果、犬・猫の個体識別番号、健康状態、寄生虫駆除状況などが記載されていること。 |
4 | 輸入許可証 | NParks | コピー可 | シンガポール到着予定日の30日前までに申請 | 事前にオンライン申請にて取得。NParks(AVS)ウェブサイトから申請可能。申請費用は約50シンガポールドル。 |
5 | 輸出検疫証明書 | 日本の動物検疫所 | 原本 | 輸出前10日以内 | 出発前に動物検疫所にて輸出検査を受け取得。健康診断書、狂犬病予防接種証明書、狂犬病抗体検査証明書、輸入許可証等の必要書類を持参。 |
6 | 航空会社指定の書類 | 各航空会社 | 航空会社による | 航空会社によって異なるため、事前に確認 | 輸送同意書など、航空会社によって必要書類が異なるため、予約時に確認が必要。 |
7 | マイクロチップ装着証明書 | 獣医療機関 | 獣医師による | マイクロチップ装着後、できるだけ早く | 英文で、マイクロチップ番号、装着日、獣医師の署名が明記されていること。 |
証明書の有効期限: 各証明書には有効期限が設定されています。シンガポール到着時に有効期限内であることを確認してください。
書類の不備: 書類に不備があると、シンガポールへの入国が許可されない場合があります。出発前に、各書類の内容を十分に確認し、必要に応じて修正や再発行を行ってください。
コピーの準備: 万が一に備え、全ての必要書類のコピーを複数部用意し、原本とは別に保管しておくことをお勧めします。
この詳細な書類一覧を参考に、確実な書類準備を行い、スムーズなシンガポール入国を実現してください。
6. シンガポール到着後の手続き: 検疫プロセスと所要時間
シンガポール到着後、ペットは以下の検疫プロセスを経る必要があります。
表5:到着後の手続きフロー
プロセス | 詳細 | 所要時間目安 |
---|---|---|
検疫所到着 | 動物検疫所(AQS)へ搬送 | 到着後速やかに |
書類確認 | 提出書類の確認 | 約30分 |
臨床検査 | 獣医師による健康状態の確認 | 約1-2時間 |
引き取り | 検査完了後、CAPQ(チャンギ空港内検疫施設)にて引き取り | 約2-3時間後 |
到着後は、速やかに動物検疫所(AQS)へ搬送され、書類確認と獣医師による臨床検査が行われます。問題がなければ、CAPQにてペットの引き取りが可能となります。
7. シンガポールでのペットとの生活: 住環境と法規制
7.1. 輸入禁止犬種: 該当犬種の確認
以下の犬種は、シンガポールへの輸入が禁止されています。
- ピットブルおよびその交雑種
- 秋田犬
- 土佐犬
- ブラジリアン・フィラおよびその交雑種
- ドゴ・アルヘンティーノおよびその交雑種
これらの犬種は、シンガポール国内での飼育も禁止されていますので、ご注意ください。
7.2. 居住形態による飼育制限: HDBとコンドミニアムの規則
シンガポールでは、居住形態によってペットの飼育に関する制限が異なります。
居住形態 | 制限内容 |
---|---|
HDB(公営住宅) | 原則小型犬のみ飼育可。品種、頭数制限あり |
コンドミニアム | 管理規約による。事前に管理組合への確認が必要 |
一戸建て | 比較的自由。ただし、近隣住民への配慮は必要 |
HDBでは、飼育可能な犬種や頭数に制限が設けられています。コンドミニアムの場合、管理規約によって制限内容が異なるため、入居前に必ず確認してください。
7.3. その他の留意事項: 高温多湿な環境への適応と獣医療機関の確認
- 気候への適応: シンガポールは高温多湿な気候です。熱中症対策など、ペットの健康管理には十分な配慮が必要です。
- ストレス管理: 長時間のフライトや環境の変化は、ペットにとって大きなストレス要因となります。ストレス軽減のための対策を講じてください。
- 獣医療機関: 渡航前に、シンガポール国内の動物病院を事前に確認しておくことを推奨します。
8. 関連機関連絡先: 正確な情報の入手のために
- シンガポール国家開発省・農食品・動物局(NParks/AVS): www.nparks.gov.sg/avs
- 日本の動物検疫所: www.maff.go.jp/aqs
- CAPQ(チャンギ空港内検疫施設): Changi Airfreight Centre
まとめ: 入念な準備による安心・安全なペットとのシンガポール移住
愛するペットとのシンガポール移住は、入念な事前準備と正確な情報収集によって、安全かつ円滑に実現できます。特に、2025年1月からの新しい規制では、狂犬病抗体検査の採血時期や、日本帰国後の再渡航に関する要件が大幅に変更されるため、注意が必要です。
本ガイドで解説した、6ヶ月前からの準備スケジュール、必要書類、費用概算などを参考に、計画的に準備を進めてください。 また、最新の情報や詳細は、必ずシンガポール農食品・動物局(NParks/AVS)および日本の動物検疫所のウェブサイトで確認し、不明な点は各機関に問い合わせることをお勧めします。
特に、以下の点は重要です。
- 2025年1月からの新ルール: 狂犬病抗体検査の採血時期(シンガポール到着予定の90-180日前)と、日本帰国後再渡航の要件(180日以上の日本滞在、日本国内での抗体検査)を遵守してください。
- 狂犬病抗体検査: 採血時期を厳守し、指定検査機関(RIASまたはDVXL)で検査を受けてください。日本帰国後の再渡航の場合、日本国内での検査結果のみ有効です。
- 必要書類: 不備なく揃え、各書類の有効期限を確認してください。特に狂犬病予防接種証明書、狂犬病抗体検査証明書、健康診断書は指定の要件を満たす必要があります。
- 情報収集: 本ガイドは最新の情報に基づいて作成されていますが、規制は変更される可能性があります。常に最新の情報を公式ウェブサイトで確認するようにしてください。
十分な準備と情報収集を行い、愛犬・愛猫とのシンガポール生活を、安心・安全にスタートさせましょう!
ペットと一緒の海外渡航を、安全に実現する。
各国の規制や必要書類、輸送手続きなど、準備することが多く不安になるものです。
PetAir JPNは、そんな飼い主様の不安に寄り添い、渡航計画から到着までしっかりとサポートいたします。
■ 必要な手続きと書類の準備サポート
■ 安全で快適な輸送方法のご案内
■ 到着までの安心サポート
安心のサポート体制✓ 経験豊富なスタッフによる丁寧な対応
✓ 各国の最新規制情報の把握と対応
✓ 輸送時の安全管理の徹底
皆様の体験やご意見をお聞かせください!
ペットと一緒の海外渡航について、あなたの経験や疑問点はありますか?
実際に経験された方は、準備で気をつけたポイントや、移動中に困ったことなど、ぜひシェアしてください。また、これから渡航を考えている方からの質問もお待ちしています。
など、気になることがありましたら、お気軽にコメントしてください。
みなさまのコメントは、同じように悩んでいる方々の大きな参考になります。ぜひ下のコメント欄に、あなたの思いや疑問をお寄せください!
コメント