最終更新日:2026年8月7日
この記事でわかること
- 狂犬病抗体価検査が必要になる国・ケースと、国ごとの日数の違い
- 「180日ルール」の仕組みと、国によって数字が異なる理由
- 国内指定検査機関(生物科学安全研究所)での手順・費用・期間
- よくある失敗例と、検査結果が基準値未満だった場合の対処法
- 渡航・帰国前チェックリストとPetAirJPNへの相談窓口
狂犬病抗体価検査が必要な国・ケースは?
狂犬病抗体価検査への対応を確認しておきたい代表的な渡航先は、ハワイ、ニュージーランド、オーストラリア、英国、そして指定地域以外からの日本帰国です。これらは狂犬病の発生がない、または長期間発生していない国・地域が、狂犬病を持ち込ませないための入国条件を設けているためです。検査の要否や基準値は、出発国(日本)がその国・地域でどう区分されているかによって変わる場合があり、区分や条件は随時見直されます。ここでは代表的なケースを整理していますので、実際の要否・条件は必ず渡航先当局の公式情報でご確認ください。
ハワイ
- 狂犬病抗体価検査:早期引取プログラム(5-Day-Or-Less Program)を利用する場合は必要(合格基準の数値は公式ページでご確認ください)
- 抗体価検査・ワクチン接種のそれぞれについて待機期間の日数と起算日(検査機関が検体を受領した日か、結果通知日かなど)が細かく定められています。起算日を誤ると早着して早期引取プログラムの対象外になる可能性があるため、正確な日数・起算日は必ず公式ページでご確認ください
- 要件を満たさずに到着した場合は、検疫の対象となることがあります(詳しい期間・条件は公式ページでご確認ください)
- 日本帰国やオーストラリア向けの「180日ルール」とは異なる、ハワイ独自の日数体系です。事前の書類提出など別途の手続きも必要です。詳細はハワイ州農務省の公式ページでご確認ください
ニュージーランド
- 狂犬病抗体価検査:必要となる場合があります(基準値や要否の詳細は変更されることがあるため、渡航前に必ずMPI公式サイトでご確認ください)
- 2026年7月1日から新しい輸入衛生基準(IHS)が施行され、2027年4月1日までは新旧いずれの基準でも渡航できる移行期間です(出典: NZ政府 MPI)
- 新基準への移行にあわせて、個体識別(マイクロチップ)の確認手続きが追加される見込みです。開始時期や条件は変更されることがあるため、詳細はMPI公式サイトで最新情報をご確認ください
- 到着後、一定期間の係留が課される場合があります。具体的な日数はMPI公式サイトでご確認ください
- 必要書類は公的な証明・確認が求められる場合があります。詳細は同MPI公式サイトでご確認ください
オーストラリア
- 狂犬病抗体価検査:区分によって異なります(豪州当局は輸出国を区分しており、区分によってRNATT・0.5 IU/ml以上の検査要否や待機期間が変わります。日本がどの区分に該当するかは変更される場合があるため、必ず豪州当局(DAFF)の公式情報でご確認ください)
- 検査が必要な場合、結果の有効期間はサンプル採取から12ヶ月とされています
- 検査が必要な場合、輸出までには180日程度の待機期間が必要とされています(起算点や適用条件の詳細はDAFF公式でご確認ください)
- 条件は変更される場合があるため、渡航前に豪州当局(DAFF)の公式情報をご確認ください
英国
- 狂犬病抗体価検査:区分によって異なります
- 英国政府は渡航元の国・地域を分類しており、分類によって抗体価検査(血液検査)や動物衛生証明書(AHC)の要否が変わるとされています。日本がどの区分に該当するかは、今回の確認時点では英国政府の公式情報で確定できていません
- 具体的な区分・日数条件・提出書類は変更されることがあるため、英国政府公式サイト(GOV.UK)で最新の区分と要件を必ずご確認ください
- アイルランドはEU加盟国のため、英国とは別にEUの新規則が適用されます(下記参照)
日本への帰国(海外から)
- 狂犬病抗体価検査:必須(指定地域以外からの帰国の場合)
- 採血から180日以上経過後に入国(未達の場合は動物検疫所施設での係留)
- 検査証明書の有効期間:採血日から2年間
- 到着予定日の40日前までに動物検疫所への事前届出が必要
- 国内指定機関(生物科学安全研究所)または農林水産大臣指定の海外機関での検査が有効
- 詳細は動物検疫所の公式ページでご確認ください
フランス・ドイツ・スペイン・アイルランドなどEU加盟国への渡航では、EUの非商業目的でのペット移動に関する新規則が適用されます。Regulation (EU) 2016/429を委任する Commission Delegated Regulation (EU) 2026/131 が2026年4月22日から適用されており、動物衛生証明書(AHC)の様式を定める Implementing Regulation (EU) 2026/705、狂犬病抗体価検査が不要となる国・地域リストを定める Implementing Regulation (EU) 2026/636 もあわせて施行されています。日本がこの免除リストに掲載されているかどうかは、渡航前に必ず欧州委員会の公式ページ(対象国リスト)で最新の掲載状況をご確認ください。掲載の有無にかかわらず、マイクロチップ装着・狂犬病ワクチン接種・動物衛生証明書(AHC)などその他の要件は引き続き必要です。2026年4月22日施行の新規則の背景はEU渡航規則改定ガイドにまとめています。
検査前に知っておきたい「180日ルール」とは?
「180日ルール」とは、狂犬病抗体価検査の結果をもとに、一定の期間が経過した後でなければ対象国・地域に入国できないというルールの総称です。日本への帰国では、採血日を0日目として180日間が経過した後でなければ入国できないと動物検疫所が明記しています。オーストラリア向けも、対象となる場合は同様に180日程度の待機期間が課されるとされていますが、要否・起算点(採血日か、検査機関への到着日か)の詳細は一次情報で確認できておらず、渡航前に豪州当局(DAFF)の公式情報でご確認ください。前述のとおりハワイは30日・120日という別の日数体系、ニュージーランド・英国は要件の内容そのものが異なります。「180日ルール=すべての国に共通」ではない点にご注意ください。
採血日から180日間の待機期間の仕組み(日本への帰国の場合)
日本への帰国を例にすると、採血日を0日目として180日間が経過した後でなければ入国できません。たとえば採血が2026年9月1日であれば、最短で入国できるのは2027年2月28日以降です(出典: 動物検疫所「指定地域以外からの犬、猫の輸入」、2026年7月確認)。
180日未満で入国した場合の係留リスク
日本への帰国の場合、180日間の待機期間を満たさないまま到着すると、動物検疫所の施設で最長180日間の係留検査を受けることになります(出典: 動物検疫所「指定地域以外からの犬、猫の輸入」)。係留中の詳しい条件・費用については、必ず動物検疫所の公式情報でご確認ください。
係留を避けるための手順は係留回避ガイド、帰国手続きの全体像は日本帰国の完全ガイドをご覧ください。
狂犬病抗体価検査の具体的な手順(日本帰国を例にしたステップ別)
抗体価検査は単独で行う検査ではなく、マイクロチップ装着・ワクチン接種とセットで進める必要があります。以下は日本への帰国を例にした基本的な流れです。接種回数・間隔・証明書の有効期間・提出期限などの条件は渡航先によって異なるため、渡航の場合は必ず渡航先当局の公式情報もあわせてご確認ください。
マイクロチップの装着(ISO規格)
- ISO 11784/11785規格のマイクロチップが必要です
- 未装着の場合は、ワクチン接種などの処置より先に装着します
- 装着済みの場合は証明書・手帳で番号を確認しておきましょう
- 装着の基本はマイクロチップガイドを参照
狂犬病ワクチン接種(2回以上)
- 1回目の接種から30日以上の間隔をあけて2回目を接種します(有効免疫期間内であること)
- 採血は2回目接種と同日でも制度上は可能とされていますが、採血のタイミングが早いと抗体価が基準に届かず、再検査になることがあります
- 抗体が十分に産生されるまでの期間には個体差があるため、採血のタイミングはかかりつけ獣医師にご相談の上で決めましょう
- 詳細はワクチン・抗体価完全ガイドを参照
適切なタイミングで採血 → 指定検査機関へ郵送
- かかりつけの動物病院で採血し、血清を分離してから郵送します
- 国内:一般財団法人 生物科学安全研究所(神奈川県相模原市)へ冷蔵便で郵送
- 海外:農林水産大臣指定の海外検査機関(米国カンザス州立大学など)を利用できる場合があります
- 日本への帰国の場合、採血日が「180日カウント」の起算日になります(オーストラリアなど他の渡航先は起算点が異なる場合があるため、渡航先当局でご確認ください)
検査結果の確認と証明書の保管
- 合格基準:0.5 IU/ml以上
- 合格の場合:証明書を保管(日本帰国の場合、有効期間は採血日から2年間)
- 不合格(0.5 IU/ml未満)の場合:かかりつけ獣医師に相談し、追加ワクチン接種や再採血の要否を確認します(詳細後述)
- 渡航先によっては英文書類が必要になる場合があるため、早めに確認しておきましょう
日本帰国の場合は事前届出も忘れずに
- 到着予定日の40日前までに動物検疫所への事前届出が必要です
- 輸出前検査(出国前10日以内に実施)が必要です
- 詳細は動物検疫所の公式サイトでご確認ください
国内の指定検査機関:生物科学安全研究所
国内で農林水産大臣に指定されている狂犬病抗体価検査機関のひとつが、一般財団法人 生物科学安全研究所(神奈川県相模原市)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機関名 | 一般財団法人 生物科学安全研究所(RIASBT) |
| 所在地 | 〒252-0132 神奈川県相模原市緑区橋本台3-7-11 |
| 電話番号 | 042-762-2819(狂犬病抗体検査専用) |
| 検査費用 | 15,000円(税込)※2026年7月時点。最新はRIASBT公式サイトでご確認ください |
| 結果通知期間 | 概ね2週間前後(検体受領日を含む。繁忙期は変動する場合あり) |
| 支払い方法 | 銀行振込(前払い) |
| 郵送方法 | 血清を冷蔵便で郵送 |
| 公式サイト | https://www.riasbt.jp/pages/51/ |
海外の指定機関を使う場合
海外在住中にすでに狂犬病抗体価検査が必要になるケースでは、農林水産大臣が指定する海外の検査機関を利用できる場合があります。代表例として米国カンザス州立大学(Kansas State University)の狂犬病研究室があり、指定検査施設一覧にはこのほか欧州・アジア・オセアニアなど多数の国の施設が掲載されています。所要期間は検査機関によって異なり、数週間程度かかる場合があるため、依頼前に各機関の公式サイトで確認してください。
指定検査機関の一覧は動物検疫所の指定検査施設一覧で確認できます。
気をつけたい、よくある失敗と対策は?
2回目のワクチン接種の直後は抗体の産生が追いついていない場合があり、採血のタイミングによっては検査結果が0.5 IU/ml未満になることがあります。再検査が必要になると、新しい採血日が180日カウントの起点になり直すため、渡航・帰国が数ヶ月単位で遅れることがあります。
対策:採血のタイミングをかかりつけ獣医師に相談し、抗体価が十分に上がっていることを確認してから進める。
ワクチン接種の回数・タイミングが適切でも、個体差で抗体が上がりにくいケースがあります。この場合はかかりつけ獣医師にご相談ください。追加のワクチン接種や再採血が必要になることがあり、その際は新しい採血日が180日カウントの起算日となるため、渡航計画の見直しが必要になることがあります。
対策:再検査の進め方はかかりつけ獣医師または動物検疫所に確認し、早めに再スケジュールを立てる。
日本帰国の場合、抗体価検査証明書の有効期間は採血日から2年間です。この期間は渡航先によって異なる場合があり(前述のとおりオーストラリアは12ヶ月とされています)、一律に2年と思い込むと期限切れに気づかないことがあります。
対策:渡航先ごとの有効期間を確認し、採血日を起点に手帳やカレンダーへ期限を記録しておく。
採血日を0日目と数えるか1日目と数えるかで1日ずれます。また、渡航予定日から逆算する際に、時差や飛行時間を考慮していないケースもあります。
対策:現地到着日時から逆算し、余裕を持たせる。国際線は到着が翌日になることも多いため、着日を基準に180日前を計算するなど安全側に日程を引く。
よくある質問(FAQ)
まとめ:180日ルールは国によって数字が違う、だから早めの確認が大切
狂犬病抗体価検査は、日本への帰国では「採血から180日」という考え方が基本です。オーストラリア向けは輸出国の区分によって検査の要否や待機期間が変わり、ハワイは「合格後30日+接種後30日」という別体系、ニュージーランドは2026年7月からの新基準への移行中、英国は国の分類によって要否が変わる仕組みと、国ごとに日数・要否の仕組みが異なります。「180日待てば安心」と思い込まず、渡航先ごとの最新情報を確認しながら準備を進めることが大切です。
あわせて、マイクロチップ装着の基本はマイクロチップガイド、狂犬病ワクチン接種の基礎は狂犬病予防接種の基礎知識、ワクチン全体の比較はワクチン・抗体価完全ガイド、日本帰国の手続き全体は日本帰国の完全ガイドでも解説しています。
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執筆: PetAirJPN 編集部(国際ペット輸送の実務チーム)
※この記事の情報は2026年8月時点のものです。各国の検疫規制・検査機関の費用や期間、航空会社のポリシーは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の渡航可否・要件の確定判断は、各国当局・動物検疫所・航空会社の最新の公式情報を必ずご確認ください。