最終更新日:2026年8月1日
この記事の対象
- 本記事は短頭種犬(パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ、シーズーなど)の国際輸送における健康リスクと安全対策に絞って解説しています。
- 航空会社ごとの受託条件を横断的に比較したい場合は、短頭種犬の航空会社別・受託条件まとめをあわせてご覧ください。
- 搭乗前日までの持ち物や当日の流れは、短頭種犬の飛行機搭乗ガイドで詳しくまとめています。
短頭種犬の国際輸送で、何がリスクになるのか?
短頭種犬の国際輸送が難しいとされる最大の理由は、身体的な特徴にあります。ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーといった犬種は鼻が短く気道が狭いため、「短頭種気道症候群(BOAS)」と呼ばれる呼吸のしづらさを抱えやすい傾向があります。
短頭種犬に多い航空輸送リスク
- 呼吸による体温調節が苦手で、熱中症になりやすい
- ストレスや興奮で呼吸が荒くなると、呼吸困難に陥りやすい
- 飛行機の貨物室は基本的に空調で温度・湿度が管理されていますが、搭降載時や空港内での移動など屋外にいる時間帯は温度・湿度の変化にさらされやすく、身体への負担が大きくなる場合がある
米国運輸省(DOT)は2010年7月、それ以前の5年間ほど(2005年前後〜2010年ごろ)に発生した航空輸送中の犬の死亡122件を調べ、そのうち約半数が短頭種犬だったとする統計を公表しています(内訳の一例としてイングリッシュ・ブルドッグ25件、パグ11件など)(出典: 米国獣医師会(AVMA)がDOT統計を引用する形で掲載、2026年7月確認)。やや古いデータではありますが、短頭種犬特有のリスクを示す数字として現在も広く参照されています。米国運輸省は現在も毎月「Air Travel Consumer Report」を公表しており、2024年通年では全航空会社合計で動物関連インシデントが13件(死亡10・負傷3)報告されています(出典: 米国運輸省、2026年7月確認)。
主要航空会社は短頭種犬をどう扱っている?
短頭種犬の受け入れ対応は航空会社ごとに大きく異なり、同じ会社でも旅客便と貨物便で条件が違うことがあります。日系2社の要点は次のとおりです(2026年7月確認)。
| 航空会社・サービス | 短頭種犬への対応 | 対象範囲 |
|---|---|---|
| ANA旅客便(国内線・国際線) | 毎年5月1日〜10月31日は受託を停止(季節制限) | ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーなど13犬種 |
| ANA Cargo(国際線貨物) | 通年、短頭種犬の受託を行っていない | 旅客便とは別建てのルール |
| JAL旅客(国際線) | 短頭種の一部について受託を制限・中止 | 対象犬種を具体的な数では示しません。最新の対象犬種・条件は下記出典で必ずご確認ください |
| JALグループ貨物(国内線・国際線) | 短頭種の一部について受託を制限・中止(対象犬種・条件は予告なく変更されることがあります) | 対象犬種を具体的な数では示しません。最新の対象犬種・条件は下記出典で必ずご確認ください |
出典: ANA(国際線)・ANA(国内線)・ANA Cargo・JAL(国際線旅客)・JALCARGO(国内貨物)・JALCARGO(国際貨物)、2026年7月確認。最新の受託条件・運航状況は各社公式サイトで必ずご確認ください。
ANA旅客便は夏季のみの季節制限であるのに対し、ANA Cargo(国際線貨物)は通年で受託していない点、JALは短頭種の一部について国際線旅客・グループ貨物(国内線・国際線)のいずれにも受託の制限・中止がある点が、それぞれ異なる整理になっています。対象犬種・期間・サービス(旅客/貨物)によって条件が異なるため、これらを一律に「短頭種は受託中止」とまとめることはできません。ANAの対象犬種は本記事執筆時点で13犬種ですが、JALは対象犬種を具体的な数では公表していません。対象犬種・実施条件はいずれも各社の判断で予告なく変更されることがあるため、最新の内容は各社公式サイトで必ずご確認ください。他の航空会社を含めた一覧比較は、航空会社別・受託条件まとめの記事で確認できます。乗り継ぎがある場合は、出発地・経由地・到着地すべての航空会社の規定を個別に確認する必要があります。
短頭種犬との海外渡航、今の時期・航空会社で進められますか?
犬種・渡航先・出発希望時期をお聞かせください。
受け入れ可能な航空会社の探し方から一緒に整理します。
海外渡航までの準備は、どう進めればいい?
短頭種犬だからといって、検疫手続きの基本的な枠組みが変わるわけではありません。ただし「短頭種犬を受け入れてくれる航空会社の選定」が通常より重要な工程になります。準備は次のような流れで進めるのが一般的です。
情報収集と渡航スケジュールの検討
渡航先の入国条件を確認し、短頭種犬を受け入れている航空会社を早めに探し始めます。前述のとおりANA・JALのように夏季や通年で受託を制限している例があるため、渡航時期にも余裕を持たせておくと選択肢が広がります。
マイクロチップ装着・予防接種
渡航先の入国条件としてマイクロチップの装着や狂犬病ワクチンの接種が求められる場合は、早めに済ませておきます。マイクロチップは日本からの輸出そのものの要件ではなく、渡航先国の入国条件として必要になる場合がある点に注意してください。マイクロチップ・ワクチンの具体的な要件は渡航先によって異なるため、渡航先当局の最新情報もあわせてご確認ください(出典: 動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、2026年7月確認)。
狂犬病抗体価検査(渡航先が求める場合)
渡航先の入国条件として抗体価検査が求められる場合があります。将来的に日本へ帰国する可能性がある場合(指定地域以外から入国するとき)は、動物検疫所の規定により農林水産大臣が指定する検査施設で受ける必要があります。アイスランド・オーストラリア・ニュージーランド・フィジー諸島・ハワイ・グアムの指定地域から日本へ入国する場合は別の手続きとなり、この条件がそのまま当てはまるわけではありません。また、日本への帰国を予定していない渡航先のみの要件については、この指定施設の条件がそのまま当てはまるとは限らず、渡航先当局が定める条件に従う必要があります。対象となる条件は、動物検疫所と渡航先当局それぞれの公式情報で確認したうえで手続きを進めてください(出典: 動物検疫所「犬、猫を輸出するには」・動物検疫所「指定地域」、2026年7月確認)。
航空会社の最終確認と予約
短頭種犬の受け入れポリシー(特に季節制限や対象犬種)を改めて確認したうえでフライトを予約します。乗り継ぎがある場合は全区間の航空会社を確認してください。
動物検疫所への輸出検査申請(検査希望日の14日前まで)
輸出検査は、検査希望日の14日前までにNACCS(動物検疫関連業務)を利用して申請します(出典: 動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、2026年7月確認)。渡航先の入国条件によっては準備に時間がかかる場合があるため、早めに動き始めることが大切です。必要書類も上記リンクで最新の情報をご確認ください。
出発前の健康診断と書類準備
獣医師に「航空輸送に耐えられる健康状態か」を診断してもらいます。短頭種犬の場合は、呼吸器系の状態を念入りにチェックしてもらうと安心です。
輸出検査(出発予定日の10日以内が基本。渡航先の要件もあわせて確認)
動物検疫所での輸出検査は、出発予定日の10日以内に受け、輸出検疫証明書の交付を受けるのが基本です(出典: 動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、2026年7月確認)。渡航先によっては、書類の有効期間や検査時期について別途の入国条件が定められている場合があります。日本の輸出検査要件と渡航先の入国要件はどちらか一方を優先するものではなく、両方を満たせるようにスケジュールを組む必要があります。検査を受けられる正確な時期・場所、渡航先ごとの要件は、動物検疫所と渡航先当局の公式情報でそれぞれ必ずご確認ください。
費用はどのくらいかかる?
短頭種犬の海外輸送でかかる費用の項目は、主に次のとおりです。金額は動物病院・検査機関・航空会社・時期によって変わるため、具体的な見積りは個別にお問い合わせください。
| 費用の項目 | 金額に影響する主な要因 |
|---|---|
| マイクロチップ装着(渡航先が求める場合) | 動物病院・動物の大きさ |
| 狂犬病ワクチン接種・各種証明書の発行 | 動物病院・接種回数 |
| 狂犬病抗体価検査(渡航先が求める場合) | 指定検査機関 |
| 航空会社のペット輸送運賃 | 航空会社・区間・クレートを含めた重量 |
| 短頭種向けにゆとりを持たせたクレート | サイズ・素材 |
| 輸送代行業者に依頼する場合の費用 | 依頼する業務の範囲 |
マイクロチップ・ワクチン・抗体価検査などの手続きに関する詳細は動物検疫所「犬、猫を輸出するには」、航空会社の運賃・クレート条件は利用予定の航空会社の公式サイトでご確認ください(2026年7月確認)。
よくある失敗・注意点は?
短頭種犬の国際輸送でつまずきやすいポイントには、いくつかの典型的なパターンがあります。
リスクを減らすために、飼い主ができる対策は?
短頭種犬との海外渡航のリスクは、事前の備えで小さくできる部分が多くあります。
鎮静剤の使用を推奨しない考え方など、米国獣医師会(AVMA)の情報も参考になります。詳しくはAVMA公式ページでご確認ください(2026年7月確認)。
よくある質問(FAQ)
まとめ:リスクを正しく理解し、時期と航空会社を丁寧に選ぶ
短頭種犬との海外引っ越しは、身体的な特徴からくるリスクと、航空会社ごとに異なる受託条件の両方に向き合う必要があります。とはいえ、リスクの内容を正しく理解し、受け入れ可能な時期・航空会社を選び、獣医師と連携しながら準備を進めれば、決して不可能なことではありません。
航空会社ごとの受託条件を横断的に確認したい場合は短頭種犬の航空会社別・受託条件まとめを、搭乗前日までの持ち物や当日の流れは短頭種犬の飛行機搭乗ガイドをあわせてご覧ください。
🐾 短頭種犬の海外渡航、まずはご相談ください
犬種・渡航先・出発希望時期をお知らせください。
受け入れ可能な航空会社の探し方から一緒にご案内します。
執筆: PetAirJPN 編集部
※この記事の情報は2026年8月時点のものです。各国の検疫規制・航空会社のポリシーは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の渡航可否・受託条件の確定判断は、各航空会社・動物検疫所の最新の公式情報を必ずご確認ください。