最終更新日:2026年8月1日
海外への転勤や移住が決まったとき、真っ先に頭に浮かぶのが「うちの猫を無事に連れて行けるのか」という不安ではないでしょうか。マイクロチップやワクチン、書類の手続きは渡航先によって細かく異なり、何から手をつければいいのか迷う方も多いはずです。
この記事でわかること
- 渡航前に必ず確認すべき3つのポイント
- 準備開始から出発までのスケジュールの目安
- アメリカ・EU・英国・ハワイ・グアムなど渡航先ごとの検疫の違い
- 機内持ち込みと貨物室、猫の輸送方法の選び方
- 現地生活の準備と、よくある失敗例
まず確認すべき重要ポイント3つ
海外移住を決めたら、まず次の3点を確認してください。ここが、その後のすべての準備の出発点になります。
準備スケジュール|渡航までのタイムライン
「いつ、何をすべきか」がもっとも重要なポイントです。特にタイター検査が必要な渡航先の場合、準備には半年以上を見込んでおくと安心です。以下はPetAirJPNが目安としてお伝えしているスケジュールで、渡航先や猫の状況によって前後します。
渡航8ヶ月以上前:基礎準備
- 渡航先の輸入要件を確認する(渡航先当局の公式サイト・PetAirJPNへの相談)
- マイクロチップを装着する(未装着の場合)
- マイクロチップを国内で登録する
- 狂犬病ワクチンの接種を開始する(マイクロチップ装着後に接種)
渡航6ヶ月前:ワクチン・タイター検査
- 渡航先が求める回数・間隔で狂犬病ワクチンの接種を続ける(回数・間隔は渡航先により異なるため要確認)
- タイター検査(狂犬病抗体価検査)が必要な場合は実施する(多くの国で0.5 IU/ml以上が合格の目安とされています)
- 検査後の待機期間が定められている渡航先は、要件に沿ってスケジュールを組む
渡航3ヶ月前:書類取得・各種手配
- 英文健康証明書について、必要な様式や認証(政府獣医官による裏書き等)をかかりつけ獣医師に確認しておく(発行そのものは有効期限が短いため、出発日に近い時期に依頼します)
- 必要に応じて公印確認・アポスティーユを取得する
- 渡航先によっては事前の輸入許可申請を行う
- フライトの予約とペット枠の確保を進める
- 現地の受け入れ態勢を確認する(住居のペット可否・動物病院リストなど)
渡航1ヶ月前:検査申請・最終確認
- 英文健康証明書の発行をかかりつけ獣医師に依頼する(出発日から逆算し、有効期限内に収まるタイミングで)
- 動物検疫所へ輸出検査を申請する(検査希望日の14日前までにNACCS経由で申請)
- 書類の有効期限・記載内容を最終チェックする
- クレートトレーニングを仕上げる
- 現地の動物病院・緊急連絡先を確保する
出発10日以内:輸出検査
- 動物検疫所で輸出検査を受ける(出発10日以内に実施)
- 輸出検疫証明書の交付を受ける
- 航空会社へペット搭載の最終確認を行う
出発当日:空港手続き
- 書類一式を提示する(健康証明書・ワクチン証明・タイター検査結果など)
- 航空会社カウンターでペットを受け付けてもらう
- クレートに水分補給の準備をしておく
必要書類・条件一覧
| 書類・条件 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| マイクロチップ証明 | ISO 11784および11785規格に適合したもの | 装着後に接種したワクチンのみを有効とする国が多いため、先に済ませておくと安心(個別の可否は動物検疫所・渡航先当局にご確認ください) |
| 狂犬病ワクチン証明書 | 接種日・ロット番号・有効期限を記載 | マイクロチップ装着後に接種したものが有効とされる国が多い |
| 健康証明書(英文) | かかりつけ獣医師が発行し、渡航先により政府機関の認証(裏書き)が必要な場合がある。政府獣医官が直接発行する国もある | 有効期限は渡航先・航空会社により異なるため、出発日から逆算して取得時期を調整する |
| 狂犬病タイター検査結果 | 多くの国で0.5 IU/ml以上が合格の目安 | ハワイなど狂犬病非発生地域の一部で必要ですが、日本からの渡航ではEU・オーストラリア・ニュージーランドのように不要とされる渡航先もあります。グアムのように区分によって要否が変わる渡航先もあるため、要否・基準は渡航先当局の公式情報で確認する |
| 輸出検疫証明書 | 動物検疫所が発行 | 検査希望日の14日前までに申請し、出発10日以内に検査を受けて取得する |
| 輸入許可証・パーミット | 渡航先当局が事前発行 | グアム・シンガポールなど事前許可が必須の渡航先がある。ハワイは到着地(空港)によって要否が異なるため、渡航先当局の公式情報で確認する |
| 混合ワクチン証明 | 猫汎白血球減少症・カリシウイルスなど | 渡航先によって求められる種類が異なる |
出典: 動物検疫所(犬、猫を輸出するには)(日本側の輸出手続き、確認日: 2026年8月)。渡航先ごとの要件は動物検疫所および各国検疫当局の公式サイトで最新情報をご確認ください。
国別・ケース別の主な違い
渡航先によって求められる検疫条件は大きく異なります。代表的な国・地域の特徴を整理しました。いずれも要件は変更されることがあるため、渡航前に必ず公式情報でご確認ください。
アメリカ本土
- 犬向けにCDCが2024年8月から義務付けている新ルール(マイクロチップ・輸入フォーム提出等)の対象に、猫は現時点で含まれていません
- マイクロチップ・狂犬病ワクチンなどの要件は州や航空会社によって異なるため、渡航先の州や利用航空会社の最新情報を確認してください
- 健康証明書の有効期限は渡航先・航空会社により異なるため要確認
出典: 米国CDC(犬の輸入)
ハワイ
- 所管はハワイ州農務省。狂犬病が発生していない地域のため要件が厳格です
- FAVN検査(狂犬病抗体価検査)で0.5 IU/ml以上が合格基準
- FAVN検査後、ハワイ州が定める待機期間を経ないと、短縮検疫プログラムの対象になりません。待機期間の長さと数え方(起算日)はハワイ州農務省の公式ページで必ずご確認ください
- 隣島(コナ・カフルイ・リフエ)到着では別途検査許可手数料が発生します(金額は公式ページでご確認ください)
グアム
- グアムの動物検疫は、ハワイ州農務省とは別のグアム政府の担当機関が所管しています。入国許可の申請窓口や役割分担は機関によって異なるため、具体的な照会・申請先は下記の公式サイトでご確認ください
- 生後3ヶ月超での1回目狂犬病ワクチン接種、1回目から30日以上あけて2回目の接種が必要
- FAVN検査の要否は出発地域の区分によって異なります。日本からの渡航における要否はグアム政府公式サイトで必ずご確認ください
- 入国許可(Entry Permit)は事前申請が必要です。申請時期の目安は変更されることがあるため、最新の申請期限はグアム政府公式サイトで必ずご確認ください。要件を満たせば短縮検疫の対象になります
EU諸国
- マイクロチップ装着→狂犬病ワクチン接種→待機期間の順が必須です
- 初めてワクチンを接種する場合は接種完了から21日以上の待機が必要です(有効期間内に継続して追加接種している場合は不要)
- 日本はEUの狂犬病抗体価検査の免除対象国リストに掲載されており、非商業目的の移動ではタイター検査は不要です。ただし商業輸送や条件を満たさない移動は対象外となるため、最新の区分は欧州委員会の公式ページでご確認ください
- タイター検査が不要な場合でも、マイクロチップ・狂犬病予防接種・動物健康証明書は別途必要です。動物健康証明書(AHC)の取得が必要で、2026年4月22日から新しいペット渡航規則が施行されています
出典: 欧州委員会
英国(グレートブリテン)
- 日本は英国のペット渡航制度でPart 2 Listed Country(掲載国)に区分されています
- 現行の区分では、マイクロチップ装着後の狂犬病ワクチン接種と、接種後21日間の待機で足り、タイター検査(血液検査)は不要とされています
- 区分は見直される可能性があるため、最新の要件は公式ページでご確認ください
- 英国政府が定める様式の健康証明書が必要です
出典: GOV.UK
オーストラリア・ニュージーランド
- 日本はオーストラリアでGroup 2(狂犬病清浄国として承認された区分)、ニュージーランドでCategory 2(狂犬病フリー国)に分類されています
- オーストラリア向けは狂犬病抗体価検査(タイター検査)は不要とされています。到着後の検疫施設での係留の要否・期間や、ワクチン接種を含むその他の条件は個体の状況・書類の充足度によって変わるため、断定はせずオーストラリア政府の公式ページで必ずご確認ください
- ニュージーランド向けは、出発前に継続して6ヶ月以上カテゴリー2国に居住していれば、タイター検査は不要とされています。2026年7月1日発効の新しい輸入基準(Import Health Standard)もあるため、条件は変わることがあります
- マイクロチップ・所定の証明書・輸入許可など、タイター検査以外の要件は別途あります。区分や条件は変更されることがあるため、渡航前に必ず両国の公式情報でご確認ください
シンガポール・香港
- シンガポールは事前の輸入許可申請と狂犬病ワクチン証明が必要です。2026年4月1日以降は輸入通関の手続きがAVS認定ペットエージェント経由に限定され、飼い主個人での手続きはできなくなりました
- 香港は独自の検疫制度があります。輸入許可申請やワクチン証明の要否・内容は渡航先当局が定めるため、詳細は香港政府(AFCD)の公式サイトで確認してください
- 申請から許可取得まで一定の期間がかかる渡航先が多いため、早めの準備をおすすめします
出典: シンガポールAVS
猫の航空輸送:機内持ち込みと貨物室の違い
輸送方法は大きく「機内持ち込み(キャビン)」と「貨物室(カーゴ)」の2つに分かれます。猫のストレス・安全を最優先に選んでください。
| 輸送方法 | 条件 | メリット・注意点 |
|---|---|---|
| 機内持ち込み(キャビン) | サイズ・重量の上限、対象路線は航空会社によって異なります | 飼い主がそばにいられますが、路線・便によって受け入れ枠が限られ、早めの予約が必要です |
| 貨物室(カーゴ) | IATAの基準に適合したハードクレートが必要(詳細な仕様は搭乗予定の航空会社にご確認ください)。温度管理された貨物室で運ばれます | キャビンに入らない猫はこちらが基本です。旅客機の貨物室(Class C)は飛行中に乗務員が立ち入れないため、水分補給や体調管理は事前の準備が重要です |
渡航後の現地生活の準備
渡航前の手続きだけでなく、到着後の生活準備も早めに進めておくと安心です。
現地の動物病院を確保する
到着後すぐに頼れるよう、現地の動物病院や夜間救急対応の窓口を事前に調べておきましょう。日本語対応の有無や、猫の既往症を英文で伝えられる資料を準備しておくと安心です。
現地でのワクチン・登録手続きを確認する
渡航先によっては、入国後に猫の登録やワクチンの継続接種が求められる場合があります。入国時に案内される手続きを確認し、期限内に対応してください。日本出国前の準備については動物検疫所の公式サイトもあわせてご確認いただけます。
移動のストレスに備える
長時間の移動は猫にとって大きな負担です。慣れたブランケットやおもちゃを持参する、移動前後の食事量を調整するなど、普段の様子を知っている飼い主だからこそできる配慮を心がけてください。体調に不安がある場合は、事前に獣医師へ相談しておくと安心です。
よくある失敗例
ここでは、渡航準備でよく見られるつまずきを紹介します。個別の要件は各国当局や動物検疫所の公式情報で確認してください。
マイクロチップ装着後に接種したワクチンのみを有効とする国が多く、順序を誤ると再接種が必要になる場合があります。条件付きで認められるケースもあるため、個別の可否は動物検疫所や渡航先当局にご確認ください。再接種が必要になると渡航スケジュールへの影響も大きいため、マイクロチップの装着を先に済ませておくと安心です。
再接種・再検査が必要になり、渡航先によってはその後さらに待機期間が必要です。渡航スケジュールが根本から崩れるため、余裕を持った計画が欠かせません。
健康証明書は発行からの有効期限が短いことが多く、早く取得しすぎるとかえって渡航日に無効になってしまいます。出発日から逆算して発行依頼日を決めてください。
キャビン持ち込み・貨物室ともに、フライトごとのペット受け入れ枠には限りがあります。航空券の予約と同時にペット枠の確保を進めてください。
グアム・シンガポールなど事前許可が必須の渡航先や、ハワイのように到着地によって許可要否が変わる渡航先では、確認を怠ると入国できないことがあります。申請から許可取得までに時間がかかることも多いため、早めの確認が必要です。
ペルシャなどの短頭種は、一部の航空会社で貨物室輸送の対象外とされることがあります。予約後に断られるケースもあるため、渡航が決まった時点で航空会社に確認しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
PetAirJPNに相談すると楽になるケース
愛猫との海外移住は、書類・スケジュール・航空会社選びなど確認すべきことが多く、一人で抱え込むと負担が大きくなりがちです。PetAirJPNは次のような場面でサポートしています。
書類が多くて何から始めればいいかわからない
必要書類・取得順序・期限を整理し、優先順位をつけてご案内します。
渡航先の輸入要件が複雑
渡航先ごとの最新要件を確認しながら、不備がないよう伴走します。
スケジュールを正確に組みたい
ワクチン・検査・書類・検疫予約の全体スケジュールを整理し、無理のない準備計画を一緒に立てます。
航空会社やルート選びに迷っている
猫の輸送条件と渡航先に合わせた選択肢の整理をサポートします。
🐾 愛猫との海外移住、まずは無料相談から
渡航先・猫の状況・出発予定時期をお知らせください。
必要な準備期間と最初の手続きをまとめてご案内します。
完全無料|オンライン対応可|土日祝も受付
執筆: PetAirJPN 編集部(国際ペット輸送の実務チーム)
※この記事の情報は2026年8月時点のものです。各国の検疫規制・航空会社のポリシーは予告なく変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の渡航可否・要件の確定判断は、各国当局・動物検疫所・航空会社の最新の公式情報を必ずご確認ください。